梅野が田淵以来の虎新人45年ぶり連発

 「阪神12‐6ヤクルト」(1日、倉敷)

 待望久しい『田淵2世』の誕生だ。阪神ドラフト4位の梅野隆太郎捕手(23)=福岡大=が球団の新人では69年の田淵幸一以来、45年ぶりの2打席連続本塁打を放ち、倉敷のファンを魅了した。初回に一挙7点を奪って逆転するなど打線全体も奮起し、チームの連敗は5で止まった。

 倉敷での一戦。敵の燕軍団を退治したのは桃太郎ではなく、隆太郎だった。梅野が球団史に名を刻むプロ初の2打席連発。価値ある2本の放物線で、5連敗中のチームをトンネルの出口へ導いた。

 四回無死。歴史的一発が生まれた。石川の外角シュートを捉え、左中間席へ4号ソロ。球団の新人では69年の田淵以来、45年ぶりとなる2打席連発となった。「光栄ですね」。普段は冷静沈着な23歳は、大歓声に包まれたヒーローインタビューで口元を緩めた。

 1本目も価値ある一発だった。5点を奪って迎えた初回1死一塁。1ボールから石川のシンカーを捉えた。左翼席中段へ3号2ラン。15打席ぶりの安打が、5月6日の中日戦以来の一発となった。

 「最近打っていることが少なかったし、積極的にいこうと思っていた。久々の手応えだったので、行ったと思った」。チームにとっては6月15日の西武戦で緒方が放った一発以来8試合ぶりの本塁打でもあった。

 1年目からプロで結果を残すルーキーの打撃フォームは、母校・福岡大で“教科書”となっている。大学4年の夏。樋口修二監督(62)が梅野のスイングを上半身、下半身、膝など各箇所に分けて撮影した。「膝が割れないスイングなので変化球にも対応して、来た球を打てるフォーム。下級生が参考にしています」と同監督。DVDに保存し、後輩が手本にするほど理想的なフォームだ。

 五回1死での第3打席は、球団新記録となる新人の3打席連続本塁打を期待するスタンドから、梅野コールが湧き起こった。結果は四球。「少し頭にはありました。積極的にいこうと思ったけど、見てしまった」と苦笑い。それでも記録を塗り替えるチャンスはある。

 シーズンは半分の72試合が終わったばかりだ。「こういう経験を生かして後半戦も頑張りたい」。今や欠かせぬ存在となりつつあるルーキー。倉敷でつかんだ自信を胸に、定位置の座をつかみにいく。

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