岩田で阪神5割復帰 7回0封5勝目

 「阪神1-0ヤクルト」(2日、甲子園)

 阪神が勝率5割に復帰し、中日と並んで3位に再浮上。甲子園での連敗も5でストップ(1分け挟む)した。先発の岩田稔投手(30)が7回8安打無失点で5勝目。再三のピンチをしのいだ左腕の執念が実り、初回の1点を完封リレーで守り切った。チームは14カードぶりのカード勝ち越しとなった。

 甲子園の涼しい夜風が心地いい。お立ち台で、「岩田コール」を全身に浴びた。7回を8安打無失点。粘りの投球でつかんだ5勝目は、今季聖地初星だ。受け取ったウイニングボールを「宝物です」とはにかんだ岩田は、ファンに2度、力強いメッセージを送った。

 「身を引き締めて、頑張ります!」

 何度も激しく左手でグラブをたたいた。七回までピンチの連続だったが岩田の心は折れない。1点リードの四回は不運な安打2本で無死二、三塁。一打逆転の場面を迎え、左腕は極限まで集中力を高めた。梅野を信じボールを低めへ。「今日はスライダーが抜けていた代わりに、フォークが良かった。思い切って投げられた」。田中、野口をフォークで連続空振り三振に斬ると、2死満塁からの後続も断ち窮地を脱した。

 「同じテンポにならないように気をつけた。ランナーが出ると止まらなくなる打線がある。今まで、僕はその流れに負けていた」。投球のリズムに緩急を取り入れ、最後まで本塁を踏ませなかった。奪った三振は今季最多の8つ。「ピンチになってから粘り強く投げてくれた」と和田監督も左腕をねぎらった。

 キレ味鋭いフォークは直球が走ってこそ。威力ある直球はキャッチボールの相手を恐れさせるほどだ。大阪桐蔭の後輩藤浪は言う。

「ぼくらは『圧』って言うんですけど、岩田さんのボールは『圧』がすごい。迫ってくる感じです」。昨年より球威を増した直球が、岩田の多彩な変化球を生かしているのだ。

 汗びっしょりの顔には、ワイルドなヒゲが蓄えられている。「ストレスかな。わかれへんけど」。ゴメスのような願掛けではない。そると荒れるからだという。験担ぎではないヒゲが幸運をもたらした。

 2連勝でチームは5割復帰。中日が敗れ、3位タイに浮上した。

岩田はかみしめるように言った。「今、マウンドで投げられていることに感謝しながら、楽しんでやりたい」。ダメなら引退‐。背水で臨んだ今シーズン。左腕の復活をもう誰も疑わない。先発ローテを支え進化していく。

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