虎4連勝!岩崎やったぜ72日ぶり3勝目
「DeNA0‐3阪神」(5日、横浜)
阪神の新人バッテリーでの勝利は実に31年ぶりだ。ドラフト6位の岩崎優投手(23)=国士舘大=が7回無失点と好投し、4月24日以来、72日ぶりの3勝目をマークした。同4位の梅野隆太郎捕手(23)=福岡大=が好リードで支え、チームは今季3度目の4連勝を飾った。
幾度もの危機を耐え忍んだ先に、価値ある勝利が待っていた。岩崎が4月24日の中日戦以来となるプロ3勝目。「簡単に勝てるとは思っていなかった。自分のできることをしっかりやろうと思っていた」。その強き心が手繰り寄せた勝利だ。
序盤から走者を背負う投球。最大の危機は両チーム無得点の四回だ。1死から多村の右前へ落ちる打球を福留が後逸(記録は三塁打)。その後、1死一、三塁という厳しい局面を迎えた。だが…。
「ホームだけは絶対に踏ませないという気持ちだった」。黒羽根を投ゴロに打ち取り、さらに2死一、二塁となった場面ではモスコーソを三ゴロに仕留め、この危機を見事に無失点で切り抜けた。
制球に苦しみながら「自信のある球で勝負したかった」と要所は直球で三振を奪う。「置きにいけば、さらにやられる。全力で腕を振った」と右打者の懐も攻め続けた。すべてが、岩崎優の類いまれな資質を表すワンシーンとなっていた。
ともに自身最多の131球を、8奪三振で7回無失点。その粘りに、味方は七回のゴメスの先制2ランで応えた。勝利を引き寄せた自らの信念。それともう1つ、左腕を支えたのが家族の存在だ。
3日のヤクルト戦(甲子園)の雨天中止が決定すると、翌4日の静岡遠征に先がけて、岩崎は地元・静岡市内の実家へと帰省した。
自分を気にかけてくれる祖父母に変わらぬ笑顔を見せ、母・恭子さんの手料理をほおばる。母に頼まれたサインの山に「このために帰ってきたんじゃないんだけど」と言いながらもペンを走らせる。何げない時間が、左腕に新たな力を与えた。
地元で行きつけの理容店で散髪して気合を入れ、精かんさを増した姿そのままの堂々たる投球。和田監督から「自分の力で勝った投球内容だった」と最高の賛辞を贈られた。
ただ、達成感はない。「うれしいですけど、これで終わりではない。この投球を続けられるようにしたい」。4連勝で息を吹き返した猛虎。その中心で、背番号「67」が存在感を増している。