藤浪、完投ペースが暗転…喜べぬ6勝目
「阪神6‐5広島」(9日、甲子園)
漆黒の夜空を見上げギュッと唇を噛んだ。蒸し暑い甲子園に交代のコールが響く。阪神・藤浪は悔しさを押し殺し、中西投手コーチの言葉にうなずいた。「完全に完投ペースでしたし完投しないといけない点差だったのでリリーフの方に申し訳ないです」。チームトップタイの6勝目も素直に喜べるはずがなかった。
序盤は球数がかさんだが、五回からセットポジションに変更し、七回まで球数は90球。プロ初完投を視界に捉えていたが、八回に崩れた。1死走者なしから安打2本と四球で満塁のピンチを招くと、岩本に直球を右前へ、はじき返された。
「リリースポイントが合っていない感じがした。原因はそれ1つじゃないですけど」
それでも6回6失点した前回から中7日で修正した。翌日のキャッチボールでは軸足の右足で飛び跳ねてから投げ体重移動を確認。「悪いところは自分で分かっている」。高校時代からフォームが乱れるとこうして原点に立ち返る。2年目ながら引き出しは豊富だ。
「今日は藤浪に完投してもらいたいところだったけど。七回、八回が壁になっている。何とか乗り越えてほしい」。和田監督は独り立ちを期待した。プロ2年目。周囲は勝つだけでは納得しない。それは本人が一番分かっている。