関本史上初のG倒劇!代打逆転満塁弾

 「巨人4‐6阪神」(13日、東京ド)

 愉快、痛快、こんな勝ち方が見たかった。阪神が2点を追う七回、2死満塁から関本賢太郎内野手(35)が代打逆転満塁アーチを放った。関本自身初、チームとしても伝統の一戦で史上初の代打逆転満塁弾となった。首位巨人に勝ち越し、ゲーム差3・5で2位浮上。球宴まで残り3試合。連勝街道再スタートや‐。

 乾いた打球音とともに、東京ドームに流れる時間が止まった。ファンが選手が、誰もが左中間へ舞い上がった白球を凝視した。長い長い滞空時間‐。その終着点は虎党が歓声を上げて待つスタンドだった。伝統の一戦で猛虎が放った史上初の代打逆転満塁弾。こんなことができるのは神様・関本しかいない。

 表情をピクリとも変えず、ダイヤモンドを一周した勝負師。「入ると思わへんかった。まさか、まさか」と振り返った場面は2点を追う七回だった。2死満塁、大和の打席でコールされた代打・関本。カウント2ボールで押し出し四球も視野に入る状況だが、そんな“邪念”はさらさらなかった。

 果敢に高めの真っすぐに食らいついた関本。結果はファウルだったが、この1球で明らかに空気は変わった。何かが起こる予感‐。直後の4球目、145キロのストレートを捉えた打球は、鮮やかに左中間スタンドへ飛び込んでいった。

 今季1号は自身にとって初の代打逆転満塁弾。1点差に迫られた九回1死三塁の第2打席では、しぶとく二遊間を破りダメ押しの適時打を放った。抜群の働きに和田監督は「本当に大きな仕事。自分が決めるというスイングをしてくれた」と称賛を惜しまない。

 「プロに入って2、3年のとき、おやじに謝罪されたことがあるんよ。違う道を勧めてあげればよかったって」。こう明かした関本は幼少期、父の「プロ野球選手になってほしい」という夢をかなえるため、二人三脚でその道を目指した。毎日のティー打撃、暗闇でのトレーニング。父と歩んだ日々の積み重ねがプロへの扉を開いた。

 その先に待っていたのは周囲の高い壁。生き残るために必死にもがく中、父の謝罪を聞いた。それでも関本の心にある揺るぎない信念は「継続は力。毎日、続けることでここ一番や勝負どころで力が出ると信じてるから」。父と培い、学んだ積み重ねの大切さは今も決して忘れてはいない。

 その結晶が、プロ野球最高峰の舞台で放ったグランドスラム‐。宿敵に勝ち越し、チームを2位へ再浮上させた“神の一撃”は、努力の2文字を抜きにしては語れない。

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