上本「たまたま」笑顔なきプロ初先頭弾

 「中日8‐4阪神」(14日、ナゴド)

 阪神・上本は口をつぐんでいた。何も話すことはない…バスへ急ぐ足取りがそう語っていた。「たまたまですよ」。初回先頭打者アーチの感想を問われると、そうつぶやいた。それがプロ初であっても、負ければ打てなかった悔しさだけが、胸に刻まれる。

 九回。代打新井の適時打で4点差となり、2死一、二塁で打席が巡ってきた。打線の粘りで浅尾をベンチへ追いやったが、岩瀬を捉えきれなかった。背番号4が右飛に倒れゲームセット。先制しながら、カード頭を落とした。前日の巨人戦で劇的な勝利を収めただけに、球宴前最後の3連戦は主導権を握りたかった。

 「有利なカウントだったので、思いきりいこうと思っていました」。初回の攻撃が終わると、球団広報から報道陣に、上本のコメントが伝えられた。開始2分の先制撃。初回、朝倉を捉えた打球は鮮やかに左翼スタンドへ飛んでいった。3ボール1ストライクからフルスイングで仕留めたのは内角高めの直球。選手会長の積極性が生んだ4号ソロは、巨人戦に勝ち越した前カードの勢いを見せつけた。

 サッカーのブラジルW杯がこの日、幕を閉じた。1勝もできず、予選リーグで大会から姿を消した日本代表は、あちこちで酷評された。阪神のチーム内でも話題になった。「もどかしい…」。チームメートがそう言うと、上本は「やっているほうは一生懸命なんじゃけぇ」と、口をとがらせた。手を抜いて負けたわけじゃない。勝負の世界に身を投じるものが軽口をたたくべきじゃない。そう言いたげだった。

 打てない日もある。そんな夜は多くを語らず、次戦に切り替える。勝ちたい。その一心で次戦もグラウンドに立つ。

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