藤浪初完投星!「八回のカベ」越えた
「中日1-8阪神」(15日、ナゴド)
また1つステップアップした。ついに『八回のカベ』も乗り越えた。阪神の藤浪晋太郎投手(20)が5安打1失点で、プロ初完投を果たした。自己最多タイの13三振を奪い、同最多143球の熱投で7勝目。2年目、通算38試合目の先発で初めて1人で投げきった。
派手なガッツポーズはない。武山をカットボールで空振り三振に斬ると、藤浪はフーッと息をついた。ナインとのハイタッチでようやく表情を崩した。自己最多タイの13奪三振。九回も150キロを連発し、自己最多の143球で初めて最後まで投げきった。
「素直にうれしいですし、9連戦最後の登板なのでリリーフの方に休んでもらいたかった。今日は何としても完投するという思いでマウンドに上がりました。あと1人コール、あと1球コールは特別なものがありました」
初回は三者連続三振。力みのないフォームから、最速154キロの直球をコーナーに決めた。制球も安定し四球は2つ。先頭打者を許したのも一度だけだった。「リリースが安定していた。球速以上に打者との距離を詰められました」。七回にゴメスの失策で1点を失ったが、和田監督は最高の賛辞を贈った。
「限りなく完封に近い完投だ。本人も完投したかっただろうし。本当に1つずつ段階を踏んでいっている」
少年時代から自分で考え、野球中心の生活を送ってきた。実はバスケットボールも大好きだ。「ダンクシュート決め放題でしたからね」と笑う。中1で既に身長182センチあり、熱心な部活勧誘も受けた。「平日練習は来なくていいから試合だけ来てくれと言われたんですけど、突き指するかもしれないので」
3歳から始めた水泳は中学入学後も続けた。「関係あるか分からないですけど、友達が水泳をやめるとケガしたので」。故障防止のため毎週、プールで千メートルを泳いだ。これまで大きなケガは1度もない。東京遠征では治療院の先生をホテルに呼び入念なマッサージを受ける。1年間、ローテを守るため、体調管理を徹底している。
好不調はあったものの、メッセンジャー、岩田と並んでチームトップの7勝。「前半戦をいい形で締めくくれたので、後半戦もこのピッチングを続けていきたい」。後半戦ももちろん先発の柱。一皮むけた藤浪が9年ぶりの優勝へ導く。