メッセ、自己最多タイ13Kで8勝ターン
「中日0‐2阪神」(16日、ナゴド)
心は乱れなかった。球審の微妙な判定に泣かされた初回。阪神・メッセンジャーは安打と連続四球で2死満塁のピンチを招いた。6番藤井に対して3ボール1ストライクとなったが、直球でフルカウントに持ち込み、最後は147キロ直球で右飛に。冷静な投球で相手に先制点を与えなかった。
「満塁を無失点で抑えられて、自分自身としてもチームとしても大きかった。納得できない判定もあるけど審判の言うことだから。自分の仕事に集中しようと思ったよ」
二回以降はまったく危なげなかった。長身から投げ下ろす最速152キロの直球は威力があり、決め球のフォークも決まった。緩いカーブを効果的に織り交ぜ、奪った三振は自己最多に並ぶ13。今季の奪三振146は、2位・藤浪の98を大きく引き離してリーグトップをひた走る。「それが本来のメッセ。今年はストレートに加えて変化球にもキレがある」。指揮官もそう絶賛する投球内容だった。
“キング”という愛称を持つ右腕から刺激を受けた。マリナーズ時代の同僚、フェリックス・ヘルナンデスが大リーグのオールスターに出場。ア・リーグの先発を務めた。「いつもの戦いとは違う。オールスターは楽しもうとしている。自分も楽しみにしている」。そう明かしていた右腕は午前中に、ホテルでテレビ観戦。元同僚の投球に心を揺さぶられ、前半戦最後のマウンドに上がった。
中4日を考慮され、今季4度目の完封こそ逃したが、8回を投げわずか3安打無失点。前半戦を8勝7敗で終え「シーズン序盤は負けが込んでいたけど、巻き返せた。後半戦も乗っていけるんじゃないかと思う」と満足げに振り返った。中4日、中5日でフル回転した前半戦。勝負の後半戦もローテーションの屋台骨を支えていく。