上本V打!虎5カード連続勝ち越し締め

 「中日0‐2阪神」(16日、ナゴド)

 7月の虎は、文句なしに強い。阪神は上本博紀内野手(28)が六回に先制の左前適時打を放ち、メッセンジャー‐呉昇桓の完封リレーで前半戦最終戦を飾った。5カード連続の勝ち越しで、7月は11勝2敗と絶好調だ。首位・巨人とは3・5ゲーム差。この勢いで、勝負の後半戦も駆け抜ける。

 何とかしなければいけなかった。スクイズがファウルとなり、追い込まれた状況で上本の目の色が変わった。ここで1点を取らなければ勝てない‐。「あの回しかない」。その勝負勘が吉見のウイニングショットにバットを届かせた。

 紙一重で拾った打球は左前にライナーで弾み、三塁走者の新井が生還。均衡を破る1点がスコアボードに刻まれたのは六回だった。1死二、三塁で迎えた第3打席。カウント1ボールからの2球目、ベンチはスクイズを指示したが、外角のスライダーにファウルで逃げるのが精いっぱいだった。

 直後に追い込まれ不利な状況に立たされても、「食らいついて」と心は折れなかった。5球目、ワンバウンドするかギリギリのフォークを見事に拾った上本。四回1死二塁、鳥谷の中飛で飛び出し、二塁封殺の走塁ミスも取り返した。和田監督は「あれが上本の真骨頂」と絶賛したように、前半戦の快進撃を支えた男が最後のゲームでも真価を発揮した。

 試合前に行われた前半戦総括。指揮官は「西岡の長期離脱は計算してなかったけど、上本が想像以上に数字を残してくれている。上本の存在が大きな要因になっている」と評した。開幕第3戦で起こった西岡離脱の危機を救い、1番に定着。レギュラーに、そして相手に食らいつく上本の意思は打席内での立ち位置に表れている。

 右手親指の骨折から復帰した交流戦以降、上本は右足をベース寄りのラインギリギリに乗せ始めた。関川打撃コーチが「あれは本人の技術」と語るように、得意の内角をさばきつつ、弱点の外角に対応するため、目いっぱいベースへ近づいた。

 懐を徹底して攻められても、頭部死球が来ても絶対に変えなかった上本。投手に重圧を与えながら勝負していくスタイルを確立したことで、相手に投げさせた投球数はリーグトップを数える。

 一歩も引かない1番打者の粘り強い姿勢が、前半戦最後のカードで勝ち越しを呼んだ。貯金7、首位巨人と3・5ゲーム差での2位ターン。王者を追い落とすために‐。上本の存在はもはや、欠かせないものになっている。

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