梅野、田淵氏の前で“後継”アピール打
「阪神3‐0巨人」(21日、甲子園)
猛虎魂を伝説のバッテリーから受け継いだ。レジェンド始球式に登場した田淵幸一氏からエールを送られた阪神・梅野隆太郎捕手(23)が二回にプロ初の先制適時打を放てば、投げた江夏豊氏に刺激を受けた岩田も好投でチームは3連勝。首位巨人とは2・5ゲーム差に縮まり、早くも7月の勝ち越しを決めた。
偉大な先輩の後押しに結果で応えた。首位・巨人との後半戦開幕戦。先発マスクを任された梅野が、大一番で試合を決めた。
二回。2安打と四球で無死満塁。持ち味の積極性は忘れていなかった。1ボールからの2球目。沢村の真ん中低め、ボール気味の142キロをたたいた。いい当たりではなかったが、ゴロは三遊間を突破。プロ初の先制打となる左前2点適時打となった。
「後ろの打順が投手ということもあったので、走者をかえせる打撃をしようと思って打席に立った。打ったコースがよかった。抜けてくれて、きょうは持っているなと思った」
次打者は投手・岩田。梅野の結果次第では、無得点で巨人に流れを渡す可能性がある場面だった。和田監督は「しっかり風穴をあけてくれた。2点というのが大きかった」と勝負強さに目を細めた。
試合前。OBの江夏氏と田淵氏の「黄金バッテリー」による始球式が行われた。始球式後には次世代を担うバッテリーとして、梅野は田淵氏、藤浪が江夏氏に花束を贈呈。その際、初対面した同氏からエールを送られた。
「もう少し背番号を軽くしてもらったらどうだ?22番をつけられるように頑張れよ」
かつては4番として阪神を支え、75年には本塁打王に輝いた同氏からエール。「そういうふうに言ってもらえるので、期待感も田淵さんに近づけるような捕手を目指していきたい」。現在は呉昇桓が背負う22番を、いつかは自身の代名詞とする気概を見せた。
適時打後の守備では岩田を8回無失点に導き、今季最多となる4万6803人が駆けつけた伝統の一戦で勝利へ導いた。
チームは7月だけで貯金10。巨人とは2・5ゲーム差となった。2度目のお立ち台に立ったドラフト4位は力強く言い切った。「あと2試合、巨人と残っているので何とか勝ち越して差を縮めたい」。快進撃を支えるルーキーには、偉大な先輩にも負けない存在感が漂っている。