福留サヨナラ弾!ドロー寸前でG連倒!
「阪神3‐2巨人」(22日、甲子園)
最後の最後にすごいドラマが待っていた。延長十二回2死走者なしから、福留孝介外野手(37)が右翼ポール直撃の3号サヨナラ本塁打を放った。阪神は勝利目前の九回2死から追い付かれたが、引き分け寸前で今季4度目のサヨナラ勝ち。聖地での伝統の一戦で劇的な勝利を手にし、4連勝で首位・巨人とのゲーム差を1・5に縮めた。
試合終了まであとアウト1つ。右翼ポール際へライナーが伸びた。誰もが祈った。福留も願った。「切れるな。それだけを考えた」。打球がポールに直撃すると、力強く右手を突き上げる。一進一退の伝統の一戦でサヨナラ弾だ。
本塁で待ち受ける歓喜の輪に飛び込むと、両手を突き上げてウオーターシャワーに身をゆだねた。「うれしい。何とも言えない最高の気分」。興奮が収まらない。お立ち台では声が震えていた。
九回に呉昇桓が1点差を追い付かれ、同点で迎えた延長十二回2死だった。「2アウトだし、開き直った。初球がボールになって気持ちが楽になった。ストレート一本だった」。1ボールからマシソンの152キロを完璧に捉えた。4月29日の広島戦以来の3号ソロ。土壇場で4連勝へ導く劇弾となった。
3月30日の巨人戦の守備で西岡と交錯して胸部を打撲。1軍に帯同したが、状態は上がらずに6月10日に再調整で2軍に落ちた。中日時代に2度も首位打者に輝き、メジャーでもプレーしたベテランが、ゼロからのスタートを切った。「ケガで落ちたわけじゃないんだから」。出場した2軍戦12試合のうち10試合にフル出場した。
練習では若手の姿に、昔の自分の姿を重ね合わせた。「ファームの必死な姿も嫌いじゃないんだよね」。がむしゃらに白球を追った原点を思い出し、自らを見つめ直した。掛布DCと2人でロングティーに取り組んだこともあった。「左足親指の付け根に体重が掛かっていた。中日時代に戻そうとすることはやめた方がいい」。同DCの言葉に耳を傾け、復調への道を探った。
チームにとっても価値ある勝利となった。4連勝で6カード連続勝ち越し。貯金は今季最多タイの9となった。首位・巨人と1・5ゲーム差だ。「2戦取ったので、3つ取って3タテして乗っていきたい」。もがき苦しんできた背番号8が、今季一番の笑顔を見せた。