和田虎締め直せ!ミスで貯金10お預け
「広島7‐5阪神」(26日、マツダ)
阪神は八回に追い付いたが、結局は2点差で敗れた。守備で失策、送りバントのミスに走塁ミスもあった。和田豊監督(51)は課題と向き合った上で、前だけを見据えた。2位も、巨人との1・5ゲーム差も変わらず。気を引き締め直して27日の3戦目で7カード連続勝ち越しを狙う。
4時間を超えた熱戦は、天を仰ぐ形で終幕を迎えた。一投一打に観客の視線が集まり、ざわめきすら生まれた野球選手冥利(みょうり)に尽きる舞台。だが、唯一求めた勝利がつかめなかった。奮闘及ばず、虎が倒れた。
2点を追った九回、1死満塁の絶好機。直前の八回には、上本が2試合連続となる同点2ランを放つドラマがあった。再現を期待する空気。何かが起こる風が漂った。だが…。伊藤隼が三直。代打・関本が二ゴロ。驚異的な粘りも及ばず、頭上に敗北を突きつけられた。
「ひっくり返されても、追いつこうという姿勢があった。チーム状態は決して悪くないしね。ただ、何回もチャンスがあった中で、あと1本が出なかったね」。首位・巨人に肉薄することを許されなかった夜。ただ、和田監督の顔に悔恨の色はなかった。ひとつの敗北から、未来につながるであろう波動を感じ取った。
ただ、振り返れば、鳥谷、ゴメス、マートンの3者連続適時打で3点を幸先良く先制して幕を開けた試合。出足から、白星への道は大きく切り開かれたはずだった。暗転につながったのはミスの連鎖。悪魔の顔が随所で顔をのぞかせ、戦況を苦しくさせた。
同点に追いつかれた直後の三回、1死一、二塁。併殺コースの投ゴロを金田が二塁に悪送球し、勝ち越し点を奪われた。1点を追う六回、無死一塁で伊藤隼が犠打を失敗。七回には、左前打の今成が、エルドレッドがファンブルした姿を見て二塁を狙ったが憤死。上本の同点弾で失敗の色は薄くなったようにも映るが、この先、優勝を狙い、手中に収めるためには、このたぐいのミスを最小限に抑えなければ、チャンピオンフラッグは掲げられない。
「上位チームとやる時には、ひとつのミスで勝ち負けが決まる。今日は当たり前のことができなかったけど、ミスを消そうとした姿勢が出てた」と和田監督。敗北に学び、ミスを生かし、いかに勝利へとつなげられるか。55試合を残す今なら、授業料を払える。夏に流した汗と涙を秋の歓喜の礎とする。