福留、苦手マエケン撃破弾で汚名返上!

 「阪神7‐5広島」(8日、京セラ)

 ベテランがひと振りで決めた。同点の六回に阪神・福留孝介外野手(37)が右翼スタンドへ運ぶ決勝の4号ソロ。マエケンから七回途中で7点を挙げKO。巨人との差は1・5ゲーム差のままだが、エース撃ちで再び勢いを付け、上昇の夏へとつなげてみせる。

 一流打者と呼ばれた男の姿が、大歓声をバックに回るダイヤモンドに映えた。福留が難しいボールを完ぺきにスタンドへ運んで見せた。かつて天性のバットコントロールと称されたスイング。こんな美しいアーチをスタンドへかけられるのは間違いなく、この男しかいない。

 「決め球にもなるし、自信を持って投げてるだろうし」と振り返ったように決して簡単なボールではなかった。六回1死走者なし。カウント2ボール1ストライクからの4球目、前田が投じたスライダーは内角低めに鋭く食い込んできた。

 左打者の泣きどころともいえるコース。「狙って打てる球じゃないから、振ったら当たった」ときれいにすくった白球は、次第に大きくなる歓声とともに伸びていき、右翼3階席下部の広告板を直撃した。昨季、苦手としたPL学園の後輩から放った勝ち越しの4号ソロに和田監督は「欲しい一発が出た」と称賛を惜しまない。

 6日のヤクルト戦。ことごとく得点圏に走者を置いた場面で凡退を繰り返した。誰よりも結果を追い求める中、打席で苦悩する姿は2軍での再調整を余儀なくされた6月の状況と酷似していた。

 「昔を追い求めるのではなく、新しい福留を作ろう」。ファームでは掛布DCにはこう、声をかけられた。積極的に周囲の意見を聞き入れ、何が自らに一番合ったフォームなのかを探した。

 ただその中で中日時代から変えなかった、たった一つのスタイル。それはフリー打撃で、外角のボールを絶対に引っ張らないという“約束事”だ。「引っ張ったってボールは飛ばない。引っ張ってスタンドに運べる打者なら引っ張るけど」と明かした。若き日から積み重ねてきた信念だけは崩さなかった。

 新しい光を求める中で、残したスタイル。その両輪が融合したスイングが、価値ある決勝弾をたたき出した。直前にはキラが放った右翼線への飛球をフェンスにぶつかりながらスライディングキャッチ。攻守で示したその存在感は、9年ぶりのリーグ制覇へ絶対に欠かせない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

阪神最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(阪神)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス