新井、背中の張りもなんの!2点適時打
「阪神3-7広島」(10日、京セラ)
大歓声を背に受ける阪神・新井がほんの一瞬、顔をゆがめた。一塁ベース上、ひざを伸ばしたまま、両手をスパイクのつま先に伸ばした。
弟が風穴を開けたチャンス。体調の整わない兄が初球から勝負に出た。4点劣勢の五回。新井良が代打で中前打を放ち、上本も続いた。1死満塁からゴメスの併殺崩れの間に1点を返し、なお2死満塁。ここで代打指名を受けると福井の速球を目いっぱい引っ張った。
打球は三遊間を割った。左前へ転がる適時打で2者を迎え入れ、1点差。「チャンスだったし、積極的にいこうと。直球狙い?そうそう」。後続が倒れ反撃はついえたが、逆転勝利への機運を高めた。
試合前に異変があった。打撃練習の順番を記したボードに25番が抜けていた。トレーナー陣は「調整です」と詳細を伏せたが、背中から腰にかけて強度の張りがあったもようだ。新井はウオーミングアップ後、黙ってロッカールームへ消え、そのまま試合開始まで姿を見せなかった。
前日は5番スタメンで2打数2安打1打点。6連敗中だった能見の勝ち星に貢献した。最年長野手は最近出場5試合で10打数6安打(打率・600)8打点と躍動するが、入念なケアが不可欠な年齢にさしかかってきた。「きょうは特に何もないですよ。体?大丈夫」。そう言って、球場をあとにした37歳。プロ16年目で初めて体験する、1打席で勝負強さを請われる稼業。次カード、首位巨人を相手にその存在感を存分に発揮する。