藤浪神話ストップ…夏男8月プロ初黒星
「巨人4-1阪神」(14日、東京ド)
阪神は巨人との首位攻防戦第3ラウンドに敗れ、ゲーム差を2・5に広げられた。先発の藤浪晋太郎投手(20)は、7回2失点と好投したが、打線の援護がなく今季5敗目。プロ2年目で、8月初黒星を喫した。しかし夏場へきて、調子は右肩上がり。これからの巻き返しに、期待が持てる投球だった。
必死に反撃への流れをつくった。首位攻防戦で、藤浪が燃えた。六回はそれまで封印していたフォークを決め球に、阿部、高橋由、村田を3者連続三振。2死三塁のピンチを招いた七回は、150キロの直球で長野を投飛。白球に向かって猛然とダッシュし、グラブに収めると味方を鼓舞するように拳を握った。
「調子自体は悪くなかった。初回、あっさり失点してしまいましたけど、その後しっかり粘れたと思います。内容的には良かったけど、チームが勝たないと意味がないです」
7回3安打2失点の藤浪は責められない。ただ、結果的に決勝点となった井端への投球が悔やまれる。同点の四回1死満塁。2ボール1ストライクから、バッテリーは外角直球を選択した。「あそこは勝負にいきました。詰まらせたかったんですが運ばれました」。第1打席と同じく150キロ超の直球を外野へはじき返された。
「スライダーを投げるカウントに持ち込めなかった」と和田監督。前の打者・村田に死球を与えており、内角を突きづらい状況ではあった。五回以降も巨人打線を寄せつけなかっただけに、手痛い失点だった。
プロ入りしてから8月に黒星を喫したのは初めて。だが、ペナントレースの勝負どころを迎え、調子は右肩上がりだ。キャンプから逆算し、夏場にピークを合わせている。オープン戦で痛打を食らっても気にとめない。「シーズンの勝負どころで勝たないといけない」。オールスターで巨人・菅野から「疲れてない?」と聞かれると「全然、大丈夫です」と平然と言ったという。優勝を争うチームにとって、夏男の存在は頼もしい限りだ。
今季巨人戦初先発で王者に通用することを証明した。中西投手コーチは「手応えはつかんだ」とうなずいた。26日からの巨人3連戦(東京ドーム)も起用される方向だ。
試合後の通路、藤浪はうつむかず、真っすぐ前を向けて歩いた。「自分のボールは投げられました。巨人に限らず、今後に生かしていきたいです」。逆転Vへ、藤浪が切り札となる。