岩田よ、岩貞よ「お岩さんの呪い」解け
阪神の投手指名練習が18日、甲子園の室内練習場で行われ、岩田稔投手(30)、岩貞祐太投手(22)が参加した。これまで首位奪回に4度失敗。その試合の先発投手の名にはいずれも「岩」が付いていた。岩田、岩貞が今度こそ「お岩さんの呪い」を振り払う。
身の毛もよだつジンクスがそこにはあった。虎ファンの間で、まるで夏の怪談のようにささやかれている。それは、勝てば首位に立つ一戦に「岩」の名前が付く投手が先発すると敗れる‐。「お岩さんの呪い」だ。
開幕3連戦を除き、これまでチャンスは4度あった。先発マウンドに立ったのは岩崎、岩貞、岩田という名前に「岩」が付く左腕3人。ところが本来の投球ができず、「呪い」に黒星地獄へと陥れられた。シーズンは残り38試合。呪縛を振り払わなければ、セの頂点はうらめしく眺めるだけとなってしまう。
“退治”の機会が訪れるかもしれない。現在、首位巨人と1・5ゲーム差。19日にも0・5差に迫る可能性がある。翌20日・中日戦(京セラ)に先発するのは岩田だ。前回の巨人戦でKOされ投球フォームの修正に着手した。自身3連敗中ながら手応えは十分。復活星へ平常心を強調した。「しっかり勝負して自分の投球をしたい」。伸ばしていたヒゲをそり、さっぱりした表情で決意を示した。
24日・広島戦(マツダ)にはルーキー岩貞がリベンジに燃える。17日・DeNA戦でうれしいプロ初勝利。前夜は母・多恵子さんに感謝の電話を入れた。反響も大きく、LINEなどに祝福メッセージが約500件届いたという。「うれしいですね」とはにかんだが、視線は早くも次戦をにらむ。「次の試合が大事だと思っています」。たとえ首位浮上がかかる一戦になろうと若者らしく無心で挑むだけだ。
「まだそういうことを考えて投げられないと思います。プレッシャーになるなら、何も考えず試合に打ち込みたいです。負けられない試合ばかりなので。ゲームをつくって自分の投球をしたい」
広島は10日のデビュー戦でプロ初黒星を喫した相手。負けず嫌いの左腕は「もちろん、負けるつもりはないです」とプライドをにじませる。室内練習場では17日失敗したバント練習に励んだ。シーズン佳境を迎えるチームに新しい風を吹かせる。
勝利でつなぐと、最後は石直球を投げる呉昇桓が控える。「岩」から「石」へ。岩田と岩貞が、呪いを解く。