鳥谷先制V打&3安打!8点爆勝導いた
「阪神8‐1中日」(19日、京セラ)
キャプテンの好打、激走が、6カード連続の初戦勝利を呼び込んだ。阪神・鳥谷敬内野手(33)が、先制適時打を含む3安打3打点。先発野手全員安打となる12安打8得点で快勝した。首位・巨人とは1・5ゲーム差で変わらず。必死に食らいつき、必ず追い越す。
「タイミングは全て高代さんに任せているので、あとはホームへかえるだけ。常に先の塁を狙おうと思っています」。4点リードの二回。遊撃内野安打で出塁した背番号1はゴメスの左線二塁打で一塁から長駆生還。4番が「鳥谷サンのおかげ」と最敬礼した「足」で5点目をもぎ取り、先発朝倉をKOした。
首位をうかがう真夏の戦線。今季ここまで対戦成績五分の中日を相手にキャプテンらしくゲームをつくり、チームを引っ張った。初回。いきなり訪れた得点機でスコアボードに「1」を刻んだ。今成の右線二塁打のあと、浮き上がったフォークを右前へはじき返す先制打で早々と主導権を奪った。「あそこでメッセが抑えてくれたので、点につながったと思う」。初回無死一、三塁のピンチを切り抜けた右腕の粘りを自身の快音に結びつけ、さらに四回には無死一、二塁から二番手・岡田のシュートを左線へ2点適時二塁打。今季12度目の猛打賞で試合を決めた。
「巨人どうのこうのというのは全然ない」。常勝軍団を追う立場。近年変動のない立ち位置だが、キャプテンは地に足を着ける。
一昨年のオフ、都内で開催されたナイキ社のファンイベントでサッカー日本代表DFの長友佑都と初対面した。年齢は5つ下。控室で特別言葉を交わすこともなかったが、成長の舞台を「世界」に求めている侍の言葉は翌年WBCを控えていた鳥谷にとって刺激的なものだったという。
「外に向かって言葉を発して、自分を鼓舞してやっているのは強い人間だとは思わない。長友選手と話をしていたら、自分をつくるために無理してやっている感じもしないし、大きなことを言わなくても自信を持ってやっているんだなということはすごく感じた」
長友は現在、イタリアセリエAのインテルミラノでゲームキャプテンも務める。日本の伝統球団でキャプテンを担う鳥谷にとって、その存在はせん望の的でもあるのだろう。
「目の前の試合を取っていく、今はそれが一番いい」。キャプテン鳥谷が虎の手綱をしっかりと締めている。