藤浪4失点…自力V消滅も、前を向け
「巨人4‐0阪神」(28日、東京ド)
あまりにあっけない敗戦劇だった。阪神先発の藤浪晋太郎投手(20)が序盤に打ち込まれて、5回4失点降板。打線も今季ワーストタイの2安打で、今季9度目の完封負け。阪神は首位巨人に完敗し、自力優勝の可能性が消滅した。ただこれで終わりではない。巨人とは2・5ゲーム差。残り29試合。虎も、藤浪も必ず巻き返す。
厳しい現実を突きつけられた。六回の攻撃前、ベンチ奥の藤浪は唇をギュッと結び、打撃用の手袋を外した。5回を投げて7安打4失点。続投を望む思いを姿勢で示したが、球数わずか89球で交代を告げられた。巨人との首位攻防戦。自身3連敗でチームの自力優勝の可能性が消滅した。
初回、橋本にプロ入り初めて、先頭打者本塁打を浴びた。これで4試合連続の初回失点。試合の主導権を握れず投球のリズムをつかめなかった。この1点で終わらない。続く二回は2死一塁から投手・沢村に左中間を破られ追加点を献上。動揺を隠せず、橋本、片岡、坂本に高めのボールを狙われ、3連打でさらに2点を失った。
「(初回失点は)今日はホームランだったので油断とかではなく、甘いところにいってしまった。二回、沢村さんに打たれたタイムリーヒットがもったいなかったです。(その後は)引きずったわけじゃないですけど、あそこをしっかり抑えないと」
三回以降は投球フォームを修正し無失点で抑えたが、遅かった。反撃の流れをつくれず、序盤の失点が最後まで重くのしかかった。「甘いな。スキを見せたらダメ。8、9番に対しても、全力で抑えにいかないと」と中西投手コーチは厳しく突き放した。初回失点、下位打線への投球…。和田監督は「晋太郎の投手としての課題が全部出た」と表現した。
8月は夏に強い藤浪を中心に、先発ローテーションが組まれた。月間MVPを獲得した昨季は5戦4勝。その実績を買われ、巨人、広島に2試合ずつ先発したが1勝3敗。期待を込めて送り出した中西コーチも「残念」と嘆くしかなかった。
巨人戦は残り3試合。最後は9月9日から本拠地・甲子園で戦う。今後の巨人戦の起用について、中西コーチは「これから考える」と話すにとどめた。すでに能見投入の可能性も示唆しており、藤浪が外れる可能性もある。試練の2年目だ。前半戦はローテの軸として回り、後半戦は上位チーム相手に先発を任された。今後も厳しい戦いは続く。このままでは終われない。