伊藤隼あぁ“落球”虎ミスミス3位転落
「阪神1‐4ヤクルト」(30日、甲子園)
阪神は打線がふるわず、逆転負け。広島と入れ替わりで7月12日以来、49日ぶりに3位に転落した。7番・右翼で先発した伊藤隼太外野手(25)が“独り相撲”を取った。二回に先制打を放ったが、六回に普通の飛球を捕球できない、目を覆いたくなる拙守(記録は安打)。聖地の夜空を、あきれ果てた虎党のため息が支配した。
秋の訪れを感じさせる涼風が、余計に敗戦のむなしさを助長させた。最下位のヤクルトを相手に星を取りこぼし、ついに3位転落。さすがに和田監督も失意の色を隠せない。
「やっぱり六回だよな。六回表を抑えて、これからいこうという時のな…あの守備は」
指揮官が指摘したプレーは、1点ビハインドの六回の守備だ。先頭・川端が放った打球は右中間へ。半身で飛球を追った阪神の右翼・伊藤隼が正面に向き直り、背走する足を緩めた。だが、ボールはグラブをかすめて後方へ落ちる。まさかまさかの二塁打にしてしまった。
「普通のライトフライだもんな。あれは捕ってやらないと、ピッチャーがかわいそうだ」と嘆くしかないワンプレー。秋口には風の方向も変わるが、このときは、ほぼ無風だった。続く畠山は浅い右飛も、迷わず二走・川端がタッチアップで三進。筒井の暴投で痛い3点目を失った。
悩ましいところだ。外野には名手・福留がいる。ただ、打撃好調を買われ伊藤隼のスタメン起用が増えている。「守るたびに経験を積んで、うまくなっていってほしいんだが…」と和田監督は希望を託すものの、広い甲子園では外野の守備力は致命傷につながる。
「外野手が(ミスを)やってしまうと、どうしても点に絡んでくるんで…大事だよな。特に甲子園は」。1つのミス、1つの敗戦が重みを増す時期。今後の選手起用も難しい判断を強いられる。
伊藤隼も「捕らないといけない打球。チームにも迷惑を掛けたし、投手にも申し訳ない」と猛省だ。打撃では初回に先制中前打も、自身が打点を挙げた試合の連勝は6で止まった。「我慢の8月。とにかく踏ん張って、しのいで。苦しいけどな」と和田監督。勝負どころと見据える9月は目前だ。ペナントに秋風が吹くには、まだ早すぎる。