奇跡星呼んだ和田監督の耳打ちゲキ
「阪神4‐3DeNA」(2日、甲子園)
聖地に舞い降りた勝利の使者。銀傘に大歓声がはね返る。敗色気配が色濃さを増した最終回に劇的なドラマが待っていた。52歳の誕生日を迎えた阪神・和田監督に届いたサヨナラ勝ちのバースデープレゼント。猛虎が窮地で生き返った。
九回、1死満塁。ネクストバッターズサークルに歩を進め、今成に耳打ちした。「真っすぐを狙ってバットを最短でぶつけろ!」。勝負の場面に長いフレーズはいらない。3打席3三振と精彩を欠いていた男のケツをたたくだけで十分。指揮官のゲキが歓喜を呼んだ。
「選手たちが最後の最後まで追っかけてくれた結果。ゴメスのヒットで何かあるぞという感じになったけど、最後は神がかってたね。今日の勝ちは勢いがつくと思う」。優勝戦線に踏みとどまった価値ある白星。虎将も心を熱くした。
反省もある。3点を先制された直後の初回、無死二塁の反撃機。犠打を選択せず、強攻策に出たが、大和が投ゴロ。走者を進められず、鳥谷、ゴメスも倒れて無得点に終わり、試合を重くさせてしまった。
自戒の念。失敗を選手に救ってもらった。残り25試合。同じ轍(てつ)は踏まない。流れを引き寄せるタクトで、逆襲に打って出る。