ゴメス93打点目で虎新外国人記録更新
「阪神5‐3DeNA」(4日、甲子園)
38年間、幾多の外国人選手が跳ね返されてきた。あのバースでも届かなかった92打点の壁を、聖地の夜空に描かれた美しい放物線が越えていった。「本当に光栄だし、うれしい」と神に感謝しながらダイヤモンドを一周した阪神・ゴメス。121試合目でついに、ブリーデンが持つ虎の助っ人1年目の打点記録を塗り替えた。
その瞬間は同点に追いつかれた直後の三回だった。2死走者なしで迎えた第2打席。「制球が良い投手なので積極的に行こうと思った」と三浦が投じた初球、内角134キロのシュートを完璧な軸回転で捉えた。
三浦撃ち23号
高々と舞い上がった白球は、失速することなくきれいな放物線を描いて左翼席へ着弾。完璧な23号ソロはメモリアル弾となっただけでなく、チームに再び主導権を引き寄せた。
逆転された直後の六回には先頭打者として遊撃への内野安打で出塁。再逆転への起点をつくり、2位浮上の原動力となったのは間違いなく4番の働きだ。
来日1年目から打点を量産する要因‐。ゴメスは「自分のスイング。打てる球が来れば自分のスイングをするだけ」と言う。理想とする最高の一振り。これをつくるために、一切の妥協を許さない。
来日当初、斜め45度の角度からトスを上げるティー打撃に違和感を覚えた。日本独特の練習法が合わなかった。スイングに微妙なズレが生じ、それがオープン戦での不振につながった。
自己分析した結果、オマリー打撃コーチ補佐に「正面からトスを上げる方法はないか」と相談。以降、防球ネットが豊富に使える室内でスイングをつくってから外に出るルーティーンが定着した。
「もっともっと打点を挙げたいね」と白い歯を見せながら誓ったゴメス。常に最高のスイングを追い求める姿勢が、プロとしてあるべき姿が歴史を塗り替えた。