上本、選手会長の意地打!猛打賞
「阪神2‐6巨人」(11日、甲子園)
阪神・上本が西岡の気迫に応えた。6点を追う七回。背番号7のフェンス直撃打で広がった無死満塁のチャンスで選手会長が沢村をとらえた。内角速球を振り抜いた打球が左翼前で跳ね、2点を返した。
何とかしたい。その思いは最終回でも不変だった。1死からマートンが出塁すると、西村から四球を選んだ。後続が倒れゲームは閉じたが、最後まで反撃態勢をつくった。
沢村から3度快音をもぎった。三回にはシュートを、五回にはフォークをヒットゾーンへ運んだ。今季9度目の猛打賞で巨人に牙を剥(む)いたが、連敗が6まで膨らんだ夜は言葉数も乏しくなる。「(沢村は)いい投手なんで…。またあした頑張ります」。試合後、報道陣の問い掛けに、言葉を絞り出した。
前回の勝利は上本の決勝打でDeNAを倒した1週間前。その夜、お立ち台で観客席に向けて「負けられない。毎日が必死です」と言った。チームの失速とともにファンの落胆は色濃くなるが、宣言通り勝ち気がうせていないことは、プレーで表現している。
西岡の負傷離脱から始まったレギュラーの責任感をまっとうする。勝利にくらいつく姿勢こそ、上本の持ち味だ。144試合目まで目の前の1打席、1球に集中する。