藤浪、や~っと勝った!聖地初完投星
「阪神8‐2広島」(12日、甲子園)
聖地に虎党の歓声がよみがえった。阪神の連敗を6で止めたのは、藤浪晋太郎投手(20)だ。2位広島との3連戦初戦で2失点10奪三振、今季2度目の完投で8月8日以来の9勝目を挙げた。自己最速、球団最速タイの157キロもマーク。首位巨人も勝ってゲーム差7・5は変わらないが、2位とは2・5。このまま目の前の敵を倒して行くしかない。
絶体絶命のピンチで吹っ切れた。初回、無死満塁。藤浪はギアを一段階上げ、持ち味の勝負強さを発揮した。飛び跳ねるように投じた155キロ直球で松山を投ゴロ併殺に打ち取ると、キラの5球目に自己最速、05年久保田に並ぶ阪神史上最速タイの157キロをマーク。キラは歩かせたが後続を断ち、6試合ぶりに、初回を無失点で切り抜けた。負の連鎖を断ち切った。
「初回は自分の四球からヒット2本で苦しくなったので、何とか粘れて良かった。自分の悪いところだったので抑えられて良かったです。(自己最速は)数字として出たのはうれしいです」
久々にコンビを組んだ鶴岡との呼吸が合った。苦手の左打者には内角直球を厳しく突き膝元に落ちるカットボールと外角のフォークで空を斬らせた。三回と八回に失点したが、それ以外は危なげなかった。「コース、コースを使っていけたと思います」。本人も納得の投球で10奪三振だ。
八回まで126球。交代も打診されたが、「行かせてください」と九回のマウンドを志願した。きっちり三者凡退に抑え、137球の甲子園初完投勝利。ベンチでは復帰した西岡からダメ出しを食らっていたという。お立ち台で「大阪桐蔭の某先輩からプレッシャーをかけられていたので良かったです」と明かしファンを沸かせた。
「ビールかけをしてみたいんです」。二十歳になった藤浪は今年何度もこのフレーズを口にした。幼少のころからテレビで見る歓喜の光景にあこがれた。「今年はいけそうな気がします」。春先から手応えを感じ、優勝を目指して投げてきた。9月の失速で厳しくなったが、可能性がある限りあきらめない。
「シーズン1年間、やってきたことを残りのゲームで出したい。いい形で締めくくれるように、CSもありますし、調子を上げていきたいです」
プロ2年目で初めてシーズン規定投球回にも達した。チームの6連敗と自身の4連敗を止める9勝目。次回はセ・リーグでは68年の江夏豊以来となる、高卒1年目からの2年連続2桁勝利を狙う。