鳥谷、吉田義男に並んだ114回目猛打賞
「ヤクルト0-5阪神」(17日、神宮)
こんな試合がもっと早く見たかった。阪神・鳥谷敬内野手(33)が初回の先制打、三回に中押し打など3安打2打点の活躍でチームをけん引。頼れる主将に導かれるように打線は先制、中押し、ダメ押し、投げては完封リレー。2位・広島とのゲーム差を1・5に縮めた。まずはCS甲子園開催を手中に収める。
初対戦のルーキーが相手でも関係なかった。鳥谷が打席を迎えるたびに、虎党の期待は大きく高まっていった。新人右腕をのみ込んでいくように、快音を奏でた主将のバット‐。球団歴代4位の吉田義男に並ぶ通算114回目の3安打猛打賞が、和田阪神に価値ある2カード連続の勝ち越しを呼び込んだ。
杉浦の出はなをくじいたのは初回だった。1死二塁で迎えた第1打席。カウント3‐1からウイニングショットのフォークを、鮮やかに捉えた。「バッティングカウントだったので積極的に」振って行った打球は二遊間を破る先制の適時打。これが猛打ショーの始まりだった。
三回1死三塁の場面では「上本、大和が楽な展開にしてくれたので、楽な気持ちで打席に入れた」と再びフォークを引っ張って一、二塁間を破った。先制点に続く中押し点で主導権を握ると、七回の第4打席で右前打を放ち今季16度目の猛打賞。さらに2四球を加え、16日の第3打席から7打席連続で出塁する離れ業だ。
3連戦で11打数7安打と本来の姿を取り戻した。「ヒットが出る出ないは別にして、1年間、同じように打席に入れている」と言う。その一例が最終打席にこだわる姿勢。「1日の最後をしっかり終われれば、次の試合にもつながって行くので」とこだわりを明かす。
かつて一流打者と呼ばれた打者がそうであったように。144試合を戦う上で、次戦を見据えた積み重ねがトータルの数字になる。九回の最終打席、松岡の厳しい球をカットし、ボール球はことごとく見極めた。内容のある四球で1日を終え「ボール球を振らなかったのは良かった」と言いながら浮かべた納得の表情が、好調を物語っている。
和田監督も「本来のトリに戻った」と復調を確信した。能見の登板試合で打率・404と援護する主将は「良いときもあれば悪いときもある。残り試合で取り返せるように」と力を込める。残り11試合。本拠地でのCS開催へ、1つの星も落とすわけにはいかない。