能見、力勝負で8勝 原点回帰8回0封

 「ヤクルト0-5阪神」(17日、神宮)

 エースの意地が詰まった110球だった。左肩の張りを訴え、九回のマウンドを譲ったが8回を投げきり5安打無失点。ファンの大歓声に迎えられ、阪神・能見は三塁ファウルゾーンをゆっくりと歩いた。 「いろいろ鶴さんと話し合いながら。データもあるので。しっかり攻めるところは攻められた。点差を守ろうとしなかったのが良い結果になったと思う」

 試合の流れを引き寄せたのは3点リードの四回だ。1死から連打で一、二塁のピンチを招いた。一発を浴びたら同点とされる場面。畠山に対して、能見は全球、直球勝負した。カウント2‐2から内角143キロの直球で二ゴロ併殺に仕留めると小さくグラブを4度叩いた。「ゲッツーはラッキーだったね。運もあったよ」と声を弾ませた。

 前回の巨人戦は変化球主体の配球で初回に4失点。鶴岡と組んだこの夜は最速146キロの直球を中心に打者の懐を果敢に突いた。無四球の安定した内容に「この球場でこういうピッチングができるのが能見本来の姿」と和田監督も賛辞を惜しまなかった。

 今季は春季キャンプから、若手へ積極的にアドバイスを送った。その姿はシーズンに入っても変わらない。左脇腹痛で登録抹消されていた7月上旬。鳴尾浜で故障の出遅れから1軍デビューを目指していた岩貞へ「あんまり無理するなよ」と声を掛けた。ガチガチに固まるルーキーにとって能見は投球フォームを参考にしてきたあこがれの存在。「岩貞の様子がおかしい、ってみんなが言っててね。普段からできるだけ声をかけるようにしているよ」。白星が伸びず納得の1年ではないが投手陣の大黒柱としてチームをけん引する。

 4年ぶりに神宮で白星を挙げ今季8勝目。4年連続2桁勝利へ、のぞみをつないだ。「いい形で終われたので良かった」。CSへ、能見が輝きを取り戻した。

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