虎9年連続V逸…まさか呉サヨナラ被弾

 「DeNA2-1阪神」(23日、横浜)

 ついにその時が来た。阪神は1‐0の九回、呉昇桓投手(32)がブランコに逆転サヨナラ2ランを浴びて、痛恨の敗戦。ナイターで巨人が中日に勝利したため、リーグ優勝の可能性が完全に消滅し、9年連続のV逸が決定した。2位・広島とのゲーム差は2・5に広がり、本拠地甲子園でのCS開催も厳しい状況になってきた。

 虎が窮地に追い込まれた。まさかのサヨナラ被弾。うなだれる猛虎軍。7試合を残して、2位・広島とのゲーム差は2・5に広がった。直接対決を2試合残しているが、CS本拠地開催に黄信号点滅だ。そして敗戦から5時間半後。首位巨人の勝利でリーグ優勝の可能性が完全に消えた。

 ミスの連鎖が手中に収めかけた勝利を奪った。1点リードの最終回。1死からゴメスが一ゴロをファンブル。同点の走者を背負ったブランコへの2球目。敗北を告げる弾丸ライナーが一直線に左翼席へと消えた。

 「ボールがいいとか悪いとかではなく、打たれたのが一番いけない」。三塁側ベンチからバスへと続く横浜スタジアムの長い通路。来日初のサヨナラ弾を浴びた呉昇桓が、敗戦の責任を一身に背負い込んだ。

 今季6度目のサヨナラ負け。ぼうぜん自失の表情で会見場に現れた和田監督は守護神をかばった。「スンファンで打たれたんだから。この時期、仕方ないじゃ済まされないけど」。悪夢の敗戦に言葉が続かなかった。

 流れを手放したワンシーン。1点リードの九回、無死一塁から福留が2度送りバントを失敗した。直後、ランエンドヒットの強攻策に切り替えたが、最悪の三振ゲッツー。

 「(走者を)進めて(点が)取れないのとは違う。流れという点で、そういう部分が最終回をしんどくさせてしまった」。大和が2度の犠打失敗を犯し、敗北につながった21日の中日戦と同様、基本の欠落が笑みを奪った。

 難敵・久保から八回に先制点を奪った打線だが、再三の好機に4併殺。球界屈指の超高速クイックを誇る右腕にタイミングを外され続けた。11安打で1点。効率の悪い攻めの蓄積が、最後に重くのしかかる皮肉な結末となった。

 9年連続のV逸決定。広島の背中が遠のいた連敗。阪神を取り巻く環境はさらに厳しさを増した。ただ、泣いても笑っても残り7試合。死力を尽くして、本拠地開催のアドバンテージを勝ち取ろう。心のスイッチを切り替えて、熱く戦え‐。

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