呉昇桓 助っ人来日1年目最多36S
「DeNA4‐6阪神」(24日、横浜)
前日の失敗を引きずらなかった。2点リードの九回、阪神・呉昇桓は普段通り、淡々と任務を遂行した。DeNAは代打攻勢を仕掛けるが全く動じない。先頭・代打の下園を145キロで捕邪飛に打ち取ると、続く代打後藤は150キロの石直球で空振り三振。簡単に2アウトを奪うと最後は柳田を144キロのカットボールで空を斬らせた。
「昨日は失敗してしまったけど、次のゲームにしっかり切り替えて投げることができました」。前日、ブランコに来日初のサヨナラ本塁打を浴びたが、この夜はわずか14球で三者凡退。36セーブ目をマークし来日1年目の外国人記録を塗り替えた。全幅の信頼を寄せる和田監督もホッと一安心だ。
「やられたあとに早い段階で投げさせることができて良かった。昨日を引きずっている球じゃなかったね」
今年の1月。グアム自主トレで尊敬する元ヤクルトの林昌勇(現韓国・サムスン)から「オレの記録をすべて塗り替えてくるまで帰ってくるな」と指令を受けた。「確実にすべて塗り替えてきます」と呉昇桓。有言実行の1年目だ。ところが、新記録を打ち立てても試合後の表情に一切、笑みはなかった。口をついたのはチームメート、そしてファンへ謝罪の言葉だった。
「今年の場合はセーブ数(のこと)より、失敗の数が多いのでそれが気になっています。失敗してしまうとチームに迷惑がかかってしまう。ファンの方にも申し訳ないです」
それでも、今季黒星を喫した次登板は必ず無失点だ。呉昇桓は「ゲームによって違うけど、反省してビデオを見返すこともあれば、すぐに忘れた方がいいときもある」と言う。
日韓合わせて、300以上のセーブ数を積み重ねてきた。決して下を向かない。たとえ失敗しても、次の日は前を向く。残り6試合。イニングまたぎも連投も歓迎だ。石仏がラストスパートをかける。