福留弾で鯉と1・5差!聖地CSへ望み
「阪神4‐3広島」(26日、甲子園)
阪神が劇的な逆転勝ちを収めた。0‐3の六回はマートンの適時打で1点を返し、なおも走者を2人置いて、福留孝介外野手(37)が中堅バックスクリーンへ値千金の逆転3ランを放った。巨人の優勝は決まったが、3位阪神と2位広島とのゲーム差は1・5に。残り4戦、最後までCS本拠地開催を目指して総力を注ぐ。
まだ諦めるな。前を向け。力強く握りしめた右拳が、仲間への強烈なメッセージだった。9月の急失速、沈滞ムード。福留がチームにまん延する病魔を一振りで払しょくした。
3点を追う六回だった。マートンの適時打で2点差となった1死一、二塁。九里から戸田に代わり、2球連続で外角のスライダーがボールとなった。
3球目。「1、2の3で振ってやれと。それだけだった。変化球が来たらごめんなさいだった」。直球に照準を合わせ、外角の141キロを振り抜いた。
ライナーがバックスクリーンに向かって一直線に伸びる。逆転9号3ラン。広島戦は今季4本目の本塁打となり、CSファーストSで対戦することが濃厚な相手に、強烈なインパクトを残した。
9月18日。気持ちが引き締まる出来事があった。99年のプロ入り時、中日の監督だった楽天・星野監督が辞任を発表した。シーズン中のため連絡は控えたが、感謝の気持ちは強い。
「この世界に入れたのも、今があるのも星野さんのおかげ。どんなことがあっても1年目から使い切ってくれたからね」
遊撃手として入団し、守備に課題がある中でも1年目から起用してくれた恩師。一人前になるまで戦う姿勢をたたき込まれた。「プレーには厳しかった。褒められるより、怒られるばっかりだった」。今も根底に宿る闘争心。ここ一番での勝負強さは、闘将に培われた。
9月は勢いが止まらない。月間打率・333、4本塁打、12打点。「すごくいい状態で打席に入って、バットを振れている。打つボールを打ちにいけているし、きょうもファウルにせず、1球で仕留められている」と手応えを口にした。
残り4試合で、2位・広島とは1・5ゲーム差。甲子園でのCSファーストS開催へ可能性を残している。「僕らは勝つだけ。選手も全員、信じている」。まだ閉ざされていない奇跡への道。福留が切り開く。