メッセ0封!初ファイナルSへ扉開いた
「セCS第1S第1戦、阪神1‐0広島」(11日、甲子園)
虎にのしかかる負の歴史。重く閉ざされた第一の扉を、阪神・メッセンジャーがこじ開けた。
「初戦が大事なのは十分に分かっていた。最高の気分です」。タテジマに袖を通し、初めて体験するCSの勝利。そして阪神にとってもCS初戦の勝利は初だ。それらを成し遂げたメッセが、誇らしげに言葉を紡いだ。
今季は最多勝と最多奪三振のタイトルも手中に収めた。それでも、数々の修羅場を経験した右腕が大一番の空気に触れ、極度の緊張に襲われていた。「気持ちを抑えて、しっかり自分をコントロールしようと思った」。初回2死から連打で一、二塁の危機を招くが、松山を一塁ゴロに仕留めて無失点に抑えた。
広島打線や甲子園との相性を考え、初戦を託した和田監督も「第1球目から腕が振れていた」と右腕の気迫を称賛。そこからは、いつもの安定感に満ちた姿を取り戻した。
不調のシーズン終盤は「今はただ投げているだけ。“投球”をしないといけない」とこぼしていたメッセ。この日は、冷静な投球術も垣間見えていた。
1点リードの八回は先頭の四球から1死二塁のピンチ。だが2死後、丸にカウント3‐1となりながら緩いカーブでストライクを取り、最後は148キロの直球で遊飛に斬る。「すべての球種で感じがよかった。全部をうまく合わせられた」。力と技‐。メッセの真骨頂が、8回無失点の投球に集約されていた。
自ら希望した初戦のマウンドを託され「任せていただいたのは光栄なこと」と意気に感じてきた。前日は練習時間を間違えて2時間の遅刻というミスもあったが、それもご愛嬌(あいきょう)だ。
豪快な投球の後は「昨日は昨日。今日は今日だよ」と豪快に笑い飛ばす。その頼もしさが、東京決戦への道を大きく切り開いた。