藤浪吠えた!感情爆発G斬り初戦タイ勝
「セCSファイナルS第1戦、巨人1-4阪神」(15日、東京ド)
先陣を切った阪神・藤浪晋太郎投手(20)が7回1失点の好投。七回無死満塁のピンチでは気迫の投球で追加点を許さず。終盤は得意の盤石リレーで巨人の反撃を封じ込めた。これでアドバンテージを持つ巨人にタイ。あと3つ。若き右腕の闘志が猛虎に火を付けた。一気に突き進め!
雄たけびを上げ、右拳を突き出した。「よっしゃー!!」。藤浪が、吠(ほ)えた。阿部のソロで4-1とされた七回、なおも3連打で無死満塁のピンチを招いた。
「ツヨシさんから開き直るしかないやろと言われたので、打たれたら仕方ないぐらいの気持ちで投げました」
絶体絶命の場面で自分のボールを信じた。代打セペダに対して、1ボールからの2球目だ。153キロの直球を内角に投げきり、一ゴロ併殺打。勝負どころで集中力は研ぎ澄まされていた。続く代打井端も151キロ直球で一飛に仕留め、初戦勝利を大きく引き寄せた。
「初戦を任されたのは意気に感じました」
CSファーストS突破後に、言い渡された初戦の先発。3点の援護をもらい、序盤から飛ばした。初回は1死二塁から坂本に12球粘られながらも踏ん張り、無失点でしのいだ。直球は自己最速タイの157キロを計測。実戦から遠ざかる巨人打線を力でねじ伏せた。
7回を6安打1失点。独特の緊張感が球場を支配する中、大舞台で強さを発揮した。
レギュラーシーズンでは今季、巨人に勝てなかった。藤浪中心に先発ローテが組まれた8月。東京ドームで2試合に先発し、2敗。ペナントレースの勝負どころで勝ちきれず、中西投手コーチからは「8月の誤算は藤浪」と名指しされた。決して打ち込まれたわけではないが、マウンドで巨人の「強さ」を感じていたという。
「投げていて不気味でした。2ストライクから、簡単に見逃し三振をすることもありました。チーム全体で戦っている印象が強い」
投球フォームのクセを盗まれたこともあった。他チームとの対戦以上に試合中は神経を使ったという。シーズンの借りは大一番できっちり返してみせた。
「やっぱり日本一しか目指すところはないので、しっかり頑張っていきます」
敵地のヒーローインタビュー。ファンに日本一を約束した。今後は第5戦の中継ぎ、6戦目までもつれた場合はプロ初の中4日で先発する可能性もある。藤浪のポストシーズンはまだ終わらない。