岩田、激走Vホーム&激投満塁斬り
「セCSファイナルS第2戦、巨人2-5阪神」(16日、東京ド)
阪神・岩田稔投手(30)が、7回6安打2失点の好投でCS初勝利を挙げた。三回1死満塁のピンチを無失点で切り抜けるなど、六回まで無失点投球。5-0の七回に井端に2ランを浴びたが、先発の仕事を果たした。今季復活を果たした左腕が、CSでも輝いた。
大一番のマウンドで先輩の威厳を示した。ようやく訪れたCSの先発。岩田は3アウトを奪うたび、手を叩き自らを鼓舞した。101球に魂を込めた。
「これが最後の試合になるかもしれなかったので、出し切っていこうと思いました。初回をゼロで抑えられたことがこういう結果につながったと思います」
課題の立ち上がりを3人で片付けるとリズムに乗った。1球、1球丁寧に。動くボールでゴロを打たせ、アウトを取る。持ち味を存分に発揮した。
先制点は自らの足でもぎ取った。三回1死一、二塁。上本が中前打を放つと、二走・岩田は激走だ。迷わず三塁を蹴ると、タッチをかいくぐり、間一髪、セーフに。「1点を取るのと取らないのではえらい違い。普段のショートダッシュの成果が出ました。足が絡まらなくて良かった」。珍しいシーンを満面の笑みで振り返った。
2点リードの三回は安打と自らの一塁悪送球などで、1死満塁のピンチを背負ったが、無失点。井端に2ランこそ浴びたが、すぐに切り替え、7回2失点でまとめた。和田監督も「ランナーを出してから粘り強く抑えるのが岩田の真骨頂」と賛辞を惜しまなかった。
二重の喜びだ。朗報は試合中に飛び込んできた。母校関大が95年春以来、39季ぶりに関西学生リーグの秋季リーグを制覇。関大の先輩山口投手コーチから伝え聞き「すごくうれしかったです。自分らができなかったので。(母校は)僕に似てるなと思って見てました。ここぞの試合で負けていたので…。優勝できて良かったです」
何度もチャンスがありながら、頂点に届かない母校と自らの境遇が重なった。だが、そんなイメージも鮮やかに拭い去った。自らの好投で巨人に2連勝だ。CS初勝利と、母校の優勝。岩田にとって、忘れられない1日となった。