猛虎G3連倒!ゴメスV撃で日本S王手
「セCSファイナルS第3戦、巨人2-4阪神」(17日、東京ド)
阪神がリーグ覇者の巨人に3連勝。逆転劇で2005年以来、9年ぶりの日本シリーズに王手をかけた。4番のマウロ・ゴメス内野手(30)が七回1死二、三塁の好機で勝ち越しの左前2点適時打など、3安打3打点とリーグ打点王の勝負強さを見せつけた。阪神にとってCS制度導入後初の日本シリーズ切符は目前。一気に下克上を果たしてみせる。
すべての呪縛を解き放った“ケダモノ”がほえた。山脇一塁ベースコーチの手が吹き飛ぶようなタッチを交わし、何度も両手をたたき合わせた。もう言葉じゃない。技術じゃない。ゴメスが背負ってきた苦難をすべてぶつけた打球は、王手をかける決勝の2点適時打へと変わった。
場面は2-2で迎えた七回だった。1死二、三塁と一打勝ち越しの状況で迎えた第4打席。「直球を狙って、内角にうまく反応できた」とカウント1-1から山口が投じた内角直球を、こん身の力で振り抜いた。バットが折れたような鈍い打球音。だが振り切った打球は坂本の頭上を越えて、左中間に落ちた。
試合を決める大きな、大きな2点タイムリーに敵地は興奮のるつぼと化した。一塁塁上で何度もガッツポーズを繰り出し、神に感謝したゴメス。2点を追う六回には左前適時打を放ち、反撃ののろしを上げた。3安打3打点はまさしく主軸の働き-。和田監督も「4番らしい仕事をしてくれた」と称賛を惜しまない。
ドミニカからアメリカへ渡り、日本で才能を開花させた男。球団関係者は「彼が歩んできた道のりは決して楽なものではなかった」と言う。ドミニカのレンジャーズアカデミーでは、同級生、後輩がアメリカへ渡っていく中、今か今かとアメリカ行きの切符を待ち続けた。
「やっと来たかという思い」で渡った米国では、不遇の連続だった。メジャー登録の25人に入るには力が足りず、一塁しか守れない代打要員はチームに不必要と判断された。働き場所を求めて渡ってきた日本。4番の重圧よりも、自分の力を発揮できる環境が何よりもうれしかった。だからこそ「体は疲れてるけど、それは自分たちのやることだから」と笑ったゴメス。長い歴史を誇り、幾多の激闘を繰り広げてきた伝統の一戦-。日本一の挑戦権を懸けた戦いで一気に王手をかけた。「最後までしっかり戦い抜きたい」と力を込めた4番。歓喜の瞬間はもう、目前まで迫っている。