和田虎イッキ下克上!呉6連投でMVP
「セCSファイナルS第4戦、巨人4-8阪神」(18日、東京ド)
和田虎が、下克上制覇を成し遂げた。レギュラーシーズン2位の阪神がCSファイナルSで巨人に4連勝し、2005年以来9年ぶり6度目の日本シリーズ進出を決めた。優勝チームに1勝のアドバンテージが与えられた08年以降、セで2位以下のチームがCSを突破するのは初。CSの最優秀選手には、全6試合に登板した呉昇桓投手(32)が選ばれた。1985年以来の日本一を懸けた日本シリーズは25日に開幕する。
歓喜の輪の中心には呉昇桓がいた。チームメートにもみくちゃにされ、石仏が笑った。チーム9年ぶりの日本シリーズ進出。CS6試合すべてに登板した守護神が、文句なしのMVPに輝いた。
「日本初めての年で阪神が9年ぶりの日本シリーズだと聞いたので、少しでも力になれたと喜んでいます」
節目の大一番でも、最後を託された。6点リードの九回、悠然とマウンドへ上がった。大差で代打・セペダ、坂本にソロ2本を浴びたがご愛敬。ベンチを出た和田監督から「ゆっくりやれ」と言われ、心を落ち着かせた。石直球で後続を断ち、試合を終わらせた。
レギュラーシーズンを合わせると、これで11試合連続登板だ。負けられない試合で登板が続き、肉体的、精神的疲労はあるはずだが、「疲れはないです」と一切の弱みを見せない。これが呉昇桓の流儀だ。
プロ入りからクローザー一筋の男には一つの信念がある。呉昇桓に代わり、今季からサムスンの守護神を務めた林昌勇(元ヤクルト)が、シーズン終盤に失敗が続いたという話を聞くと、こう持論を展開した。
「林昌勇だからあれだけ抑えることができているんだ。他のピッチャーなら、もっと打たれているだろう」
日頃から、古巣の戦いは細かくチェック。韓国時代から尊敬する先輩に敬意を表して、さらにこう続けた。
「経験は無視できない」
韓国シリーズで05年と10年に2度、MVPを獲得し、ポストシーズン最多13セーブの記録を保持する呉昇桓。北京五輪、06年WBCを経験した男は、くぐり抜けてきた修羅場の数が違うのだ。
CS6連投を託した和田監督は「最後はスンファンという思いだった。文句のつけようがない」と絶賛した。
MVPインタビューで、呉昇桓は高らかに誓った。「今日は2本打たれましたけど、日本シリーズでは完璧な姿で戻ってきます」。頼もしい言葉に、敵地が揺れた。頂点をつかむために、日本にやってきた。日本一まで、あと最大7試合。85年以来遠ざかるチームの悲願を現実にする。