和田監督は先勝も冷静「連勝で5分」

 「日本シリーズ第1戦、阪神6-2ソフトバンク」(25日、甲子園)

 阪神・和田監督の両手が心地いい音色を奏でた。ウイニングボールが藤井のミットに吸い込まれた瞬間、虎将が歓喜の音をベンチに響かせた。聖地で幕を開けた頂上決戦の初戦。猛虎のパワーがパ・リーグ覇者を抑え込んだ。

 甲子園を舞台にした広島とのCSファーストSでは、2試合で1点しか奪えなかった打線が太い線となって集中打を浴びせた。球団史上シリーズ最多となる1イニング5得点を含む6点を稼ぎ、中盤までに流れを決めた。

 「ファイナルステージから6日空いたけど、選手が状態を維持して調整してくれた結果。今日のゲームに関しては、選手がよく頑張ってくれた」。監督としてのシリーズ初勝利。指揮官は満足げにハイタッチを交わした。

 試合前の全体ミーティングで和田監督が声を張った。「今シーズンの集大成。楽しんで、思い切ってプレーしてくれ。1年間支え続けてくれた裏方さんのためにも勝とう。全国のタイガースファンを喜ばせられるように頑張ろう!」。29年ぶりの日本一奪取に向け、一枚岩の結束力がさらに強固になった瞬間が、ここにあった。

 シリーズの行方を占う上でキーポイントに挙げた初戦を制しても慢心はない。「あしたも取って五分の気持ち。6点取ってダメ押しかと思っても打ち返してくる。福岡に行ったら、向こうにアドバンテージがあるわけだから。日々初戦の気持ちでやっていきます」。おごりなきチャレンジャー精神で連破を狙う。

 この時期に野球ができる喜び。たった2球団にしか許されない特権。29年ぶりの日本一に一歩前進した。甲子園の四方八方を埋めた黄色い応援ボード。連夜の六甲おろしが何よりの恩返しになる。

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