ゴメス先制&中押し打で阪神が先勝!
「日本シリーズ第1戦、阪神6-2ソフトバンク」(25日、甲子園)
阪神が初戦に快勝し、CSからの連勝を6に伸ばした。また球団の日本シリーズの連敗を6で止めた。原動力は4番のマウロ・ゴメス内野手(30)。四回に先制二塁打を放つと、五回には左前2点適時打で球団の日本シリーズ記録となる1イニング5得点をマーク。この勢いのまま、頂点へ駆け上がれ!
こんなに頼れる4番が虎にはいた。打線のうねりを生み出した男に、ファンは惜しみない大歓声を送った。85年のバース以来となるシリーズ1試合3打点。お立ち台で満足そうにゴメスが笑った。プロ野球最高峰の舞台でも主砲の輝きは一向に陰る気配を見せない。
0-0で迎えた四回だった。1死二塁と、この試合初めて得点圏に走者を進めて迎えた第2打席。「いつも通り打てる球を打とうと思っていた」と、高めに浮いた144キロの直球を見逃さなかった。フルスイングした打球はあっという間に左翼の頭上を越え、ワンバウンドでフェンスへ。上本が生還し、貴重な先制点をたたき出すと、一気に緊張感から解き放たれた。
打席で漂う余裕、タイミングを取るゆったりとしたリズム-。続く五回、2死満塁からゴメスが食らいついたボールは、外角低めに逃げる難しいカットボールだった。それでも巧みなバットコントロールで捉えた打球は三遊間を真っ二つ。貴重な左前2点打が3連続タイムリーの起点となり、1イニング5得点は日本シリーズでの球団新記録だ。
試合開始前、ゴメスは使い古した4本のバットを手にベンチへ入っていった。他の選手は平均してベンチに用意するのは2本。それはゴメスがシーズン中から続けてきた一種の“おまじない”だ。
本人が「フィーリング」と明かすように、ネクストバッターズサークルに入る前、最も手になじむバットを選択する。前の打席で本塁打を打っていようが、タイムリーを打っていようが、必ず選び直す。自分の力に応えてくれる相棒を手に-。そのスタイルが無類の勝負強さを生む。何度も何度も価値ある打点を生み出してきた。
「毎度のことだけど、チャンスでの集中力は素晴らしい」と和田監督が絶賛する虎の主砲。日本シリーズの舞台でも「いつもと変わらない。巨人戦で満員になることもあるし、特別な意識はなかった」とゴメスは平然と言ってのけた。何よりも欲しかった初戦の勝利-。それを4番がもたらしたという事実に大きな意味がある。