西岡意地見せた!武田から適時打
「日本シリーズ第2戦、阪神1-2ソフトバンク」(26日、甲子園)
3年目右腕の武田の前に苦戦、阪神のポストシーズンの連勝は6で止まった。それでも阪神・西岡剛内野手(30)が見せた意地がある。六回にその武田から放った適時二塁打。1勝1敗のタイで敵地・博多に乗り込むことになっても悲観することはない。猛虎には西岡がいる。この男が再進撃へ導いてくれるはずだ。
タダでは負けなかった。チームを鼓舞し、反撃への流れをつくり上げたのは西岡だった。客席が総立ちとなり、聖地の雰囲気はリードしているソフトバンクをのみ込んだ。CSから続いた連勝はストップ。それでも“あきらめない空気”をつくったことは、間違いなく第3戦へとつながる。
場面は六回2死だった。そこまでパーフェクトに封じられていた武田から代打・狩野が初安打を放って出塁。ここで迎えた西岡の第3打席。カウント2-2と追い込まれても、ファウルで粘った。ボール球もしっかりと見極めた。
まるで相手を支配するように持ち込んだフルカウント。7球目、122キロのカーブを右手1本で鮮やかに引っ張り込んだ。「うまく反応できた」と打球は右翼線に弾み、スタートを切っていた狩野が一気に一塁から生還。二塁塁上で西岡は何度も手をたたき、感情をむき出しにした。この1点が持つ意味。短期決戦の勝ち方を知る男がもぎとった価値ある1点が確かに、ゲームの流れを変えた。
八回2死一塁の第4打席では五十嵐に対し、再びフルカウントから四球を選んでチャンスを拡大したが、得点はならず。最終回まで反撃の手を緩めなかった。それでも届かなかったあと1点。「正直、自分の結果が悪くてもチームが勝てばいい。打っても負けたら意味がない。シーズンと違って内容じゃない。悔しい」と唇をかむ。
右肘痛を抱えながら挑んだ覚悟の短期決戦。シーズン終盤はゲームに出られる状態ではなかったが、CS前に和田監督から直接、言葉をかけられた。「頼む。ゲームに出てくれ」。その言葉が西岡の心に響いた。「選手は必要とされることが幸せ」と語る男だからこそ、指揮官の勝ちたい思いに応えたかった。
サポーターを巻き、打撃練習では時折、表情をゆがめる。それでも試合に出る以上、結果を出す。西岡は前を向きながら言った。「CSから勢いと言われた。連勝が止まって勢いなのか自分たちの力なのかが第3戦でわかる」。もちろん勢いとは言わせない。日本一の称号を得るにふさわしい力を虎は持っている-。証明するためにも、勝つしかない。