「日本シリーズ第３戦、ソフトバンク５－１阪神」（２８日、ヤフオク）

　マウンドで深く息をつくと、表情をゆがめうつむいた。六回２死二塁。左の柳田を迎えたところで、阪神・藤浪は交代を告げられた。球団史上、最年少で立った日本シリーズ初先発は悔しさしか残らない。５回２／３、７安打３失点。満員の敵地でシリーズ初黒星を喫した。

　「気持ち的には初回から飛ばしていきましたけど、（敵地で）何かに左右されたことはなかったです。五回までは悪いなりにも、ある程度は粘れたと思いますが、六回までは投げきらないといけなかったです」

　初回、立ち上がりの悪癖が顔を出した。１番柳田の右線二塁打から１死三塁のピンチを招くと、３番内川に中越え適時二塁打を浴び、先制点を献上。決め球カットボールを完璧に捉えられ、試合の主導権を握られた。

　試合途中からカーブ、フォークを交えて、修正を図ったが、四回に不運な形で追加点を許す。先頭の四球から１死二塁。細川はカットボールで空を切らせたが、捕手鶴岡が止めきれない。白球が転々とする間に、二走吉村がホームイン。痛恨のバッテリーミスで２点目を失った。

　「ノーヒットやからな。フォームを崩しながらも、力で投げていたけど」と和田監督。１勝１敗で迎えた第３戦。懸命に投げたが、短期決戦の流れを引き寄せられなかった。

　日本一への思いは、人一倍強い。ＣＳ初勝利当日こそ、先輩選手と焼き肉店でささやかな祝勝会を開いたが、通常休みの登板２日後は球場に姿を見せた。「休んでもいいと言われたんですが、中４日で投げる可能性があるので」。結局、４連勝でＣＳファイナルＳを突破。ＣＳ２度目の先発は訪れなかったが、準備はできていた。

　次回は３勝３敗までもつれた場合、プロ初の中４日で、１１月２日７戦目先発が濃厚だ。「しっかり切り替えて頑張ります」。大一番の出番を信じて待つ。