虎は死んでない…西岡「明日もある」
「日本シリーズ・第4戦、ソフトバンク5-2阪神」(29日、ヤフオク)
勝つしかなくなった。後ろを振り返る必要もなくなった。崖っぷちに立たされた猛虎打線。反撃の中犠飛を放った阪神・マートンは「この1敗は確かに痛い。でも明日勝って、甲子園に帰りたい。シーズンでも3連敗して3連勝はあったから」と言葉に力を込める。
逆境からの日本一。そのためには打線の奮起が絶対に欠かせない。第2戦から3試合で挙げた得点はわずかに4。この日も九回まで強力なソフトバンクのリリーフ陣に、わずか2安打に封じられてしまった。
それでも延長十回、形は作った。先頭の西岡が「それまで仕事をしていなかったから。塁に出れば後ろが必ずかえしてくれると思っていた」とサファテの直球をコンパクトに中前へはじき返した。4打数無安打から修正し、バットを指1本分、短く持つ工夫がもたらしたヒットだった。
続く上本が完ぺきな送りバントを決め、鳥谷は中前打でつないだ。1死一、三塁と勝ち越しのチャンスで4番ゴメス。2球目のフォークを痛烈にはじき返した。だが打球は三塁・松田の正面に飛び、ゲッツー狙いのシフトを敷く相手の術中にはまり、最悪の併殺打に終わった。
追い込まれた状況で大切なのは結果にあらがい、突破口を開こうとする姿勢。そしてひたすら前だけを見据えること-。それが今まで幾多の“奇跡”を生んできた。西岡は「ここまで来たら悲観的になる必要はない。また明日もゲームがあるわけなんで」と言う。
ゴメスも「まだ終わったわけじゃない。明日、勝って必ず甲子園に戻る」と目をぎらつかせた。誰も戦闘意欲は失っていない。崖っぷちから日本一へと続く道筋はまだ、残されている。