鳥谷が越年示唆 WM前後に去就決まらず

 長期化必至-。海外FA権を行使した阪神・鳥谷敬内野手(33)が24日、健康診断のために甲子園球場を訪れ、初めて自身の去就について言及。「ウインターミーティングの前後には決まらないと思います」と最終判断が年をまたぐ可能性を示唆した。残留か、メジャー挑戦か。まだ先は見えない。

 沈黙の時を破り、猛虎のキャプテンが口を開いた。日本シリーズ終了後も、海外FA権を行使する申請を済ませた後も一切、自らの去就に関して語ることのなかった鳥谷が初めて今後のビジョンに触れた。

 健康診断を受診し、愛車に乗り込む前の関係者駐車場。記者団に囲まれ、足を止めた。決断の時は近いのか-。「何もない。ウインターミーティングの前後には決まらないと思います」。迷いなき口調。今はまだ最終判断を下せる状況にないことを示唆した。

 日本時間の12月9日から米カリフォルニア州サンディエゴで開催されるウインターミーティング。そこで鳥谷に興味を持つメジャー球団首脳と鳥谷の代理人を務めるスコット・ボラス氏が接触を図るが、そこで完全に条件が出そろうわけではないため、決断の時期が年をまたぐ可能性が出てきたのだ。

 今月上旬に開かれたGM会議で、アストロズのルーノーGMが鳥谷を来季の戦力としてリストアップしていることを明言。また、ブルージェイズも興味を示しているが、阪神を含めたすべての条件をテーブルに並べ、最良のカードを選択するためには、熟慮する時間も必要だという図式が背景にある。

 阪神も新たに動く。17日に西宮市内のホテルで球団トップの南球団社長が直接出馬して残留交渉を行ったが、ウインターミーティング終了後にも再度、南球団社長が鳥谷と膝をつき合わせ、強く残留を訴える方針を固めた。

 「こちらとしては最初から越年もあるだろうという考えのもとで交渉してますので。どうしても残ってもらわなきゃ困る選手なので、何度でもお話しさせていただきます」と球団幹部。来季のチーム構想を固めるのに遅れが生じることは必至だが、猛虎を支える屋台骨のメジャー流出阻止に向け、多少の痛みは覚悟の上だ。

 10年ぶりのリーグ優勝を狙う来季。悲願成就に向けて、鳥谷残留と中島獲得は球団が今オフに抱えた至上命題。総力を挙げ、誠意を尽くし、遊撃のポジションに空位を生ませない。

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