福留Vで被災地・東北&関西に勇気を
阪神の福留孝介外野手(37)が14日、来季優勝し、大地震で被災した東北と関西を勇気づけることを誓った。この日は宮城県石巻市内で行われた震災復興野球教室(主催・医療法人錦秀会)に元中日の山崎武司氏(46)、楽天の菊池保則投手(25)、伊志嶺忠捕手(29)、阿部俊人内野手(25)と参加。東日本大震災はもちろん、来年発生から20年目の節目を迎える阪神・淡路大震災の被災地で、野球を応援してくれる人たちに全力プレーで喜びを与える。
寒空の下、無邪気に白球を追い、目を輝かせる子供たちの姿が思い出させてくれた。復興支援の活動以外にも、プレーで魅せることが無形の力となる。福留が被災地でプロ野球選手としての使命を再確認した。
「東北には楽天があるけど、少しでも力になれればと思う。(阪神・淡路大震災が起きた)19年前は高校生で何もできなかったし、何かをしてもらう方だった。今は恩返しができる。幸せなこと。勝つことはもちろんだけど、一生懸命プレーする姿を見せられることが一番だと思う」
深い傷跡を残した震災を忘れてはいけない。復興中の東日本大震災の被災地とともに、来年1月17日に発生から20年の節目を迎える阪神・淡路大震災の被災地を、後押しする優勝を心に誓った。
阪神でプレーする今だからといって、被災した関西に特別な思いを抱くわけではない。自身も阪神・淡路大震災の体験者だった。PL学園2年の94年秋季近畿大会で優勝し、翌春の選抜大会の出場を決定的にして迎えた95年1月17日に震災が発生。その被害で大会開催は危ぶまれた。「(大会を開催)できるかできないか、という状況の中で『どうなるんだろう』と思っていた」と振り返る。
それでも多くの人の支援と協力で大会は開催された。支えてくれる人のありがたさを知り、被害を忘れて応援してくれるスタンドの姿にスポーツの尊さを知った。伝える立場となった今も、当時の経験は根底にある。
この日の野球教室でも、その思いを体現した。正午で気温1度の中、福留は同市内から集まった約350人の子供に熱い指導を見せた。本塁打競争では、木製バットで92メートルのフェンスを越える一発を放った。柵越えは難しいのではという周囲の声を一掃し、両手でガッツポーズ。参加者全員が驚き、笑顔を見せた。
「災害を風化させないためにも、こういう活動をできることはいいこと」。来年はもっと笑って感動しよう。福留は来季、強い決意を持ってグラウンドに立つ。