虎新人投手全員安芸スタートでケガ回避

 阪神が来年2月に予定している春季キャンプで、ドラフト1位の横山雄哉投手(20)=新日鉄住金鹿島=らルーキー投手全員を安芸スタートさせるプランが18日、浮上した。故障防止を最優先にするためで、過去、宜野座キャンプに参加した新人投手に故障者が続出した経緯もある。開幕からルーキーを戦力として計算するために、故障を未然に防ぐ。

 異例の計画が明らかになった。実力や期待度にかかわらず、新人投手は全員が安芸キャンプスタート。球団幹部は「岩貞のこともあったので、無理させることもない。慎重に判断する必要がある」と明かす。

 今春、キャンプ途中から宜野座へ招集されたドラフト1位の岩貞が左肘を故障した。過去には二神、藤原など即戦力として期待されたドラフト上位選手が宜野座キャンプ中に故障し、戦力として計算できなくなった。

 理由はオーバーペース。右も左も分からないルーキーが、能見らがそろう宜野座のブルペンで競争意識を抱けば、必要以上の力を入れて投げ込んでしまう。周囲の目があり、アマ時代とは緊張感や疲労感も違う。主力から隔離調整をしていた藤浪は別として、新人が故障しやすい要因はそろっている。

 この日、甲子園クラブハウスでは新人の体力測定が行われたもよう。キャンプのスタートを宜野座にするか、安芸にするかは、1月の新人合同自主トレを含めて首脳陣が最終的な判断を下すことになるが、宜野座組から外れたとしても故障さえなければ可能性は広がる。

 実際に今年、一度も宜野座キャンプに招集されなかった岩崎は5勝をマーク。安芸で順調に調整し、オープン戦で結果を残したことで貴重な戦力として加わった。チームはオリックスからFA宣言した金子の獲得に乗り出しているが、現状では目立った補強はドラフトに限られている。即戦力投手が開幕から計算できなければ、打倒巨人への道のりは厳しくなる。

 中西投手コーチは榎田のリリーフ転向など大幅な配置転換を明言しているが、チームに新たな風を吹かせ、競争原理を生み出すのは新戦力-。横山、石崎らが1軍の争いに加わるためにも、故障のリスクは徹底して回避する。

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