ドラ1横山“裸一貫”覚悟の入寮
阪神の新人5選手が6日、西宮市の球団寮「虎風荘」に入寮した。ドラフト1位・横山雄哉投手(20)=新日鉄住金鹿島=は、部屋に野球道具と服以外は持ち込まなかった。数百万円の国産車も、高額な家電も寄付。“裸一貫”でプロの世界に乗り込んだ。
広々とした部屋に置かれたのは、グラブとボールと服だけだった。過去とは決別し、ここで再スタートを切る。新天地に懸ける気持ちの表れだった。横山が“裸一貫”で虎風荘に乗り込んだ。
新人は通常、入寮時にアマ時代の思い出の品や、使い慣れた家電や日用品を持ち込む。だが、ドラフト1位ルーキーは何も持って来なかった。
「持っていた物はあげたりした。野球道具と服以外は全部、置いてきた。もう一度、一からやろうと思ったので」
テレビや冷蔵庫などの家電は、新日鉄住金鹿島の先輩にプレゼント。入社後に給料で購入した数百万円の国産車もあっさりとした口調で「置いてきた」。同社の野球部へ寄付した。
昨年まで使用していたグラブなど野球道具までも譲り渡し、新品のネイビーのグラブを持ち込んだ。
山形中央高を卒業後、新日鉄住金鹿島へ入社する際には、多くの物を持って故郷を離れたという。だが、夢だったプロで戦う今回は覚悟が違った。「(全てを置いてきたことで)自分としては新鮮な気持ちになった」。心身ともに野球に集中する環境を整えた。
今後も野球だけに集中する。家電などは「これからあらためて買おうと思う」と急ぐ様子もなく、1カ月を切ったキャンプインへ目を向けた。
春季キャンプのスタートは、沖縄・宜野座か高知・安芸かは未定。8日から始まる新人合同自主トレでアピールを狙う。昨年12月24日の帰省から5日までは肩回りの強化と、ランニング中心のトレーニングに励んだ。「山形で練習してきたので、しっかりやりたいと思う」と力を込めた。
雨の中、スーツ姿で寮に到着した際には、大勢の報道陣に囲まれた。注目度の高さを再確認し、端正な顔を引き締めた。「タイガースに入団したんだな、という気持ちで身が引き締まる思い」。いざ、勝負の世界へ。横山は己を裸一貫からたたき上げる。