鳥谷 残留!リーグV&日本一勝ち取る
阪神は9日、海外FA権を行使してメジャー移籍を目指していた鳥谷敬内野手(33)の残留が決まったと発表した。年をまたいだ熟慮の末に、憧れのメジャーよりも愛着のある虎でプレーすることを決断。自身初、球団としても30年ぶりの日本一達成を力強く誓った。今オフの戦力補強が思うように進まなかった阪神にとって、これ以上ない朗報となった。
今オフ、最大の朗報が虎に届いた。不動の遊撃手で主軸でキャプテン。今季、チームに絶対に欠かせない男が、残留を決断した。
鳥谷は8日夜、高野球団本部長に電話で残留する旨を伝えた。「熟考に熟考を重ねた結果、残留することを決意しましたので皆さまにお知らせさせていただきます。決定が遅くなってしまい、ファンの皆さん、球団の方々、選手の皆さんにはご心配をおかけしました」。球団を通じてこうコメントした。
メジャー挑戦は積年の夢だった。今オフに海外FA権を行使し、移籍先を模索した。ブルージェイズから二塁手として正式オファーが届き、パドレスも遊撃手候補として獲得を検討。だが、日本人内野手に対するメジャーの評価は決して高くはなく、契約年数や金額面を含めて、交渉は思うように進まなかった。
一方で阪神からは、ここまで3度の残留交渉を行う中で、事実上の“終身雇用”となる4年以上の大型契約を提示されるなど、熱い思いを伝えられた。
野球人生の大きな岐路。年をまたいで悩みに悩んだ。だが最終的に、メジャーへの憧れよりも、タテジマへの愛着が勝った。「ファンの皆さんには大きなご心配をおかけした分、『リーグ優勝』、『日本一』を勝ち取りその喜びを共に分かち合えるよう、今シーズンも全力でプレーさせていただきたいと思います」。心を決めた鳥谷の視線は今、自身初の日本一達成だけに向いている。
球団にとっても最大の懸案が解決された。流出に備えて中堅・大和の遊撃コンバートを視野に入れていたが、これで昨季同様の先発オーダーが維持できる。和田監督も「これで鳥谷もすっきりしたと思うし、新たな気持ちでチームの中心となって頑張ってくれると思う」と期待を込めた。今季は球団創設80周年。節目の年に、頼もしい虎の要が躍動する。