藤浪20歳の誓い「大人の投手」になる
阪神・藤浪晋太郎投手(20)が12日、北條史也内野手(20)とともに堺市の国際障害者交流センター(ビッグアイ)で、同市南区の成人式に参加した。180イニング登板と、昨季疲れが見えた夏場に同じ轍(てつ)を踏まないことを課題にし、「大人の投手」となることを宣言。10年ぶりリーグ優勝へけん引して虎のエースに上り詰める。
2年間、勝負の世界で生きてきた貫禄だろう。華やかな晴れ着や羽織はかま、きらびやかなスーツ。1151人の新成人の中で藤浪はひときわ大人びていた。大阪桐蔭の先輩、西岡からプロ1年目に2桁勝利を挙げたお祝いにもらった高級スーツを着こなし、同級生たちと久々の再会。中学時代の恩師からは、ビデオレターで祝福された。
1時間ほどの式典を終え、あらためて節目を実感した。「社会人として、野球人としてしっかりしなければいけない。身が引き締まる思いです。大人の一員として社会的に認められる。行動、言動に責任がついてまわると思う」。所信表明した表情に、もうあどけなさはない。
野球についても明確な目標がある。「足りないことだらけ。すべて頑張りたい」と言うが、特に昨季4連敗を喫した8、9月については「その時期にしっかり勝っていかないといけない。相手も目が慣れてきて研究もされる」と、自身も課題としている。
また、かねて口にしている180回登板には「目標というより最低限のノルマ」と言い切る。「ローテを守った上に、年間を通じて安定したピッチングを継続していかないと超えられない数字」。昨季の163回より20回近く上回る数字だが、進化を続ける右腕にとってハードルは高ければ高いほどいい。その先には「虎の新エース」の称号が待ち受ける。
この日何度も口にした「責任」の2文字には、プロ野球選手として究極の目標が込められている。「日本を代表する、子供に夢を与えられる選手になりたい」。夢をもらってプロ野球選手になった。今度は自分がしっかりと夢を与えていく番だ。
近日中に広島・前田との合同自主トレが都内でスタートする。しかし、決して背中を追いかけるだけの10日間にはしない。「野球人としても一社会人としても自立してやっていきたい」。その強い信念があれば、20歳の未来は輝き続ける。