西岡独白 二塁争奪に野球人生かける
阪神・西岡剛内野手(30)が31日、キャンプイン前日の心境をデイリースポーツに語った。前夜、自主トレ先のハワイから帰国、7キロの減量に成功した。二塁のレギュラーを争う気持ちを不動とし、首脳陣から『二塁は厳しい』と判断されれば、野球人生が終わるくらいの気持ちで臨むと宣言。ポジションを9つの企業に例え、二塁のトップに就任するための戦いが始まると表現した。
西岡の肉体が昨年仕立てたスーツを持て余していた。「6キロ落としてきたよ」。前夜ハワイから帰国したばかり。体内時計は時差ぼけで狂わされているが、勝負心は整っていた。昼過ぎに着いた沖縄で生暖かい空気を吸い込み、キャンプイン前日の心境を告白した。
「僕はマイナスからのスタートになる。慌ててやらなければいけないと思うけど、オーバーペースになってもいけない。アピールが必要な立場にもなったので、そこは非常に難しいとは思う。開幕に合わせてしっかりと動ける体をつくることを頭に置きながら、焦る。そういう感じかな」
出発の伊丹空港で南球団社長から「やせたな!」と驚かれた。日本ハム・中田と自主トレを行ったホノルル郊外でやつれるほど走り込んだ。リゾート気分なら米国仕込みの高カロリー食に傾くところだが、同行した栄養士の指導下で食事管理を徹底。本人は6キロ減と言うが、マックス90キロだった体重を7キロ落とし、83キロまで減量した。
那覇まで2時間のフライトは、欧米人の成功談を集めたサミュエル・スマイルズ著の「自助論」を読んで過ごした。これらすべてが闘争心の表れだった。
「小学生のころからセカンド、ショートをずっと守ってきた。そこを守れないと評価されたら他のポジションへいくけれど、やれる自信がある。監督、コーチから『剛、お前もう厳しいよ』と言われたら僕の野球人生は終わりだというくらい覚悟を決めている。僕らはアマチュアじゃない。プロがこだわるのは当たり前。結果を出さなければ生活できないのだから。プロ野球の場合、一つのチームに9つの会社がある。そこで誰が社長になるか。それが僕の考え方」
昨季、巨人との開幕カードで守備中に福留と衝突し、一時は選手生命の危機に陥った。ブランクの間、上本が正二塁手に定着。昨秋、一年余り患っていた右肘の手術に踏み切ったことで余計に追う立場になった。アドバンテージは上本にある。そう問うと、冷静な口調で胸に秘めるプライドを語った。
「アドバンテージはあっていいもの。僕がチャンスを譲って代わりの人間がチャンスをつかんだら、その選手が有利に立つべきだと思う。横一線でないことは覚悟している。それでも僕はそこ(二塁)にこだわりたいし、そこで勝負したい。それだけ強い気持ちを持ってやっているんやで!というのを前面に出していきたいんです」
自主トレ公開日に「二遊間でダメなら控え」と話したが、単なる「自己本位」と解釈されるのは本意でない。こだわりと負けん気を持って、生存競争に挑んでいくだけだ。
「給料もらっているのでこんなことはあってはいけないことだけど、万が一、開幕から2軍スタートだと言われたとしても腐らない。常にはい上がってやろうという気持ちを持っている。これまで色んな失敗を経験してきた。ライバルは自分自身。何が起きても壁は乗り越えられると、僕は自負しています」
調整を一任されるはずの輝かしい実績をあえて傍らに置き、プロ13年目の春を迎える。