島本、トラ初の育成出身開幕1軍見えた
「オープン戦、ロッテ4-4阪神」(14日、QVC)
もう勢いだけじゃない。阪神・島本が文句なしの結果で、球団史上初となる育成出身選手の開幕1軍メンバー入りへ、当確ランプをともした。4-4の九回から登板すると、落ち着いたマウンドさばきで三者凡退。対外試合連続無失点を「9」に伸ばした。
「低めに集めようと思って、それができました。右飛のところは一本出たら終わってしまう場面なので、ちょっと反省です」
普段は初々しい言葉を並べるが、マウンドに上がると、持ち味の強気で攻める。先頭・根元はわずか1球で二ゴロ。続く大嶺翔にはフルカウントとしたが右飛に。最後の吉田も左飛に打ち取った。安定感抜群の投球で、試合を終わらせた。
首脳陣の評価もうなぎ上りだ。和田監督は「ずっとオープン戦でいいものを見せてくれている。キレがある」と絶賛。左腕は左打者はもちろん、右打者も苦にしない。中西投手コーチは「ずっと安定している。2回のケースも出てくる」とワンポイントに加えてビハインド時のイニングまたぎ起用も示唆した。
さらに、開幕1軍の中継ぎ左投手について、「もう絞りました」と続けた。すでに中継ぎ左腕枠は「2人」と明言しており、この日無失点に抑えた榎田とともに、開幕1軍入りが決定的となった。
高卒5年目の島本は昨年の秋季キャンプで大野臨時コーチからシュートを教わり、素質を開花させた。11月に支配下選手登録を勝ち取ると、オフには尊敬する先輩・高宮へ弟子入り、中継ぎの心得を学んだ。1軍キャンプでは江夏臨時コーチから激励の意味を込めて、グラブを贈られた。昨季左腕不足で苦しんだチームに、新風を吹かせている。
「結果が出て良かったです」と胸をなで下ろした島本。22歳の若き左腕が、実力で開幕1軍をたぐり寄せた。