岩田“試運転”完了!今年は大丈夫
「オープン戦、阪神2-2オリックス」(21日、京セラ)
昨年の二の舞いはゴメンだ。危機感たっぷりの阪神・岩田稔投手(31)がマウンドにいた。初回、初球を先頭・安達に安打されたが、後続を断つとリズムに乗った。ボールを低めに集め、内野ゴロの山を築く本来の投球。オープン戦最終登板で、上々の結果を残した。
「自分らしさが出せたと思う。シーズンでこういうピッチングができるようにしたい」
今年最長6回を投げ、4安打2失点、球数はわずか71球だ。和田監督も「オープン戦の中で今日が一番良かったんじゃないか」と称賛する内容だった。左腕は1週間後の28日・中日戦にシーズン初登板予定。舞台はこの日と同じ京セラ。「いいイメージができた」とマウンドにも好感触だ。
それでも本人は不満を口にする。得点を許した六回。2死後、味方失策と安打でピンチを背負うと、昨秋の侍ジャパンでチームメートだった3番・糸井に内角直球を左前へはじき返され、2点を献上。納得の1球だけに、マウンドでの表情はゆがんだ。
「(失策がきっかけとなり)余計に抑えたかった。糸井さんはすごい。狙ったところに投げたけど、うまいこと打たれました」
ちょうど1年前、悪夢を見た。開幕前の最終登板、ウエスタン・中日戦で4回15安打10失点の大炎上。直前でローテを剥奪される憂き目にあった。シーズンでは盛り返し、9勝(8敗)、防御率2・54をマークしたが、あの屈辱は忘れない。
「危機感がないと、すぐにああいう結果になってしまう。自分にプレッシャーをかけてやっていきたいです」
最後まで厳しい表情を浮かべたが、後輩の勝利にようやく頬を緩ませた。同じころ、母校・大阪桐蔭がセンバツ大会初戦を突破。「さすがです。今から差し入れを持っていきます」。例年通り栄養補助食品を差し入れする。試合後、岩田はチーム宿舎まで愛車を走らせた。