西岡やり返せ!成瀬撃ちも連勝ストップ
「ヤクルト4-3阪神」(31日、神宮)
シーズンは始まったばかり。これからや!阪神は一回無死二、三塁、西岡剛内野手(30)が左越えに先制の3ランを放った。2013年9月以来、1年半ぶりのアーチ。1、2番の連打に続く一発でチームは波に乗るかと思われたが、中盤に逆転され、開幕からの連勝は3でストップ。それでもまだ今季初黒星を喫しただけ。前を向いて、1日こそ勝つ!
西岡はぶっきらぼうに言った。「勝たんかったら意味がない」。7年ぶりの開幕4連勝を逆転負けで逃した。長丁場でたった1つの黒星。それでも勝ちに飢えた背番号7の目は帰途のバスに乗り込むまでギラついていた。
開幕3連勝の勢いそのままに、よーいどんで新打線がつながった。成瀬の立ち上がり。その初球を鳥谷が左前打で粉砕すると上本も右前打で続いた。願ってもないイケイケの先制機。背番号7のバットがうなった。インハイの直球を目いっぱい振り抜き、左翼席中段までアーチを描いた。会心の1号3ランでロッテ時代からかわいがる1歳下の元同僚を意気消沈させた。
「3連勝して乗り込んできた試合の初回。やってやろうという気持ちだった」。1年半ぶりの快音で気勢を上げたが、試合は暗転。沈めたはずの左腕に移籍初勝利を献上した。成瀬からは戦前「西岡さんを断ち切れば勝機が出る」と警戒されていたが、「向こうが勝手に意識してただけ。だから打たれたんちゃうの」と吐き捨てた。
負けん気の理由はっきりしている。昨季出場はわずか24試合。打率・237、4打点に終わった。安打数は9本。満身創痍(そうい)で、本塁打は語るに及ばずその魅力を忘れかけていた。
1年前、3月30日の巨人戦で福留と激突し、意識不明の重傷を負った。救急搬送された惨事がクローズアップされるが、14年の厄難は2月からくすぶっていた。不安を抱えていた右肘痛がキャンプ序盤に悲鳴をあげ、意のままにならなくなった。悩んだ末に沖縄から緊急帰阪。単身岐阜へ向かった。
ロッテ時代にTUBEの前田亘輝から紹介された治療院「千秀堂」で旧知の坂井教仁氏の施術を受け、何とか開幕までこぎつけたが、東京ドームの悪夢が待っていた。「すぐ手術して夏ごろ復帰を目指すか1年ごまかしてプレーするか悩んだ。その中でああいう事故…。今思えば去年1年はそういう年だった…」。
岐阜の治療院は成瀬も通う名医院。この夜は親しき後輩に花を持たせたが、因縁を抱えた。「明日は勝つ」。西岡はそう言ってまた目をつり上げた。