福留トリック!お見事エープリルフール
「ヤクルト1-2阪神」(1日、神宮)
だまされた。それでも、こんなウソなら最高だ。エープリルフール。阪神・福留が経験と感覚に裏打ちされたトリックプレーで勝利をたぐり寄せた。
1点リードの八回だった。1死一、二塁。川端の低いライナーが右翼後方を襲った。全力で背走し、フェンス手前で捕球体勢を取った。すると、二、三塁間で打球を見ていた二走・荒木は二塁へ戻ろうとした。
だが、誰もが捕球すると思った瞬間に、福留は反転してフェンスに当たった打球を処理。中継の上本に送球し、慌てて再スタートを切った荒木を本塁クロスプレーで刺した。
「打った瞬間に決めた。打球と自分の守備位置で届かないと思ったからね。初めてやる球場じゃないし、何とかしようと思った」
荒木を一瞬でも迷わせなければ同点となっていた。リードを守り、神宮の歓声を悲鳴に変えたスーパープレー。和田監督もだまされていた。「ベンチから見ていても捕ったと思った。孝介にしかできないプレーだな」と賛辞を惜しまなかった。
驚く周囲とは対照的に福留は普段通りだった。「練習で打球を追いながら『この高さなら届く』とか考えてやっているから。これで次も本当に捕るのかどうか迷わせられれば、俺の得になるしね」とさらり。猛虎の右翼には頼もしい男がいる。