マートンやっとお目覚め2安打3打点

 「巨人9-5阪神」(4日、東京ド)

 敗戦の中にも今後につながる光が見えた。阪神・マートンが2本の適時打を放って、今季3度目のマルチ安打。開幕から本調子を欠いた昨季の首位打者が、復調の兆しを見せた。

 巨人ファンの歓声が響き渡る通路。助っ人はスタンドとは対照的に、落ち着いた口調で話し始めた。

 「最近は打つべき球を打ててないことがあった。自分の結果はしっかりと受け止めないといけない。ボール球に手を出していることもあった。これからは自分のストライクゾーンを打っていきたいね」。過去の自分を冷静に振り返ることができるほど、充実した打撃内容だった。

 まずは四回だ。2死三塁でポレダの低めの145キロを打ち返し、鋭いゴロで三遊間を破る左前適時打。1日のヤクルト戦以来、12打席ぶりの安打となった。

 六回にも快音を響かせた。1死二、三塁。ポレダの失投を逃さなかった。ど真ん中の144キロを振り抜き、右翼フェンスを直撃する同点の2点二塁打。

 安打はともに直球を捉えた。「常にボールに対して一直線にスイングしにいって、直球に振り遅れないように、と思っているからね」。理想とする打撃は、もう手の届くところまで来ている。

 この試合まで7試合で打率・214。フリー打撃では打ち損じが多く、試合では打席でいら立ちを見せる場面もあった。

 それでも自分と向き合ってきた。フリー打撃では、投手寄りの打席位置でスイングを確かめるなど、修正に取り組んでいた。

 気分転換も図った。今季初めてズボンの裾を膝元まで上げるオールドスタイルで出場。2安打3打点。「143試合は長いので楽しむのも一つかな、と思ってね」。球界屈指の安打製造機。手に残った感触をきっかけに、一気に加速する。

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